單元大綱

    •  携帯電話やテレビ放送、無線LANといった空中での無線通信には、電波が盛んに利用されています。一方、電波が著しく減衰してしまう海中では、音波を使って情報を伝送する「音響通信技術」が観測に活用されています。海中に展開された観測装置と無線で情報をやり取りすることによって、船舶からワイヤロープやケーブルを伸ばす手法のもつ制約を超えた観測が可能となっています。図12に音響通信を利用したいくつかの例を示します。

       海中係留式の海洋観測装置や海底に設置する海底地震計などの観測装置とのデータ通信や装置の回収時のコマンド信号のやりとりには音波信号が利用されます(図12-a)。自律型無人潜水艇のような母船から離れて水中を運航する装置を遠隔操作し、その計測値・映像データを船上に居ながらにしてモニタできるのも音響通信技術によるものです(図12-b)。また、漁具形状測定装置は、トロール網に取り付けた水中センサで曳網中の網の状態(深度・水温・傾斜・網の開口状態、曳網速度など)を計測し、時々刻々と変化する網の状態を船上でリアルタイムに監視することができます。(図12-c)。


    • 水中音響通信

      12 水中音響通信の利用例

      a)海中係留式観測装置 b) 自律型無人潜水艇 c) 漁具形状測定装置