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    • 魚類の養殖を行う際、安定した種苗生産技術の開発は非常に重要です。しかし、水槽に入れただけでは産卵しない魚も多く存在します。

      【ウナギ・キツネメバルなどの例】

      種苗生産とは、養殖を行うための稚魚を作る作業です。養殖の最初は天然の稚魚を採集し育てたり、親を採集し産卵させることから始まりますが、それでは持続的とは言えません。稚魚を養殖し成魚まで育てて、再度採卵ができると、そのあとは天然資源に頼らず、養殖魚だけで種苗生産を持続することができます。二ホンウナギの場合、産卵期の天然親を採集できないため、稚魚が乱獲され絶滅の危機に瀕しています。稚魚から養成し産卵させる必要がありますが、養殖環境だと自然には産卵しません。また、胎生魚のキツネメバルのように、成熟まで非常に長い年数を必要とし、養殖環境では雄の精子がほとんどできない魚もいます。原因としては、性成熟や産卵・産仔に至る各段階で必要なホルモンを生産するスイッチが入らないためと考えられています。