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    • そこで人工衛星が登場します.

      人工衛星は,電磁波を使って遠隔的に様々な海面の情報を取得します.

    • 可視域

       例えば,黒潮など南方系の水は澄んだ青色となっており,北方系の水は透明度の低い緑がかった色になっています.可視域における海の色の違いを人工衛星によって観測することで,植物プランクトンに含まれているクロロフィルa濃度の分布が得られます.

      赤外域

       可視光より波長の長い赤外域では,水温観測に利用されます.例えば空港に設置されているサーモグラフィー,これはゲートを通過する人の体表面から放射される電磁波の強度を測定し,体温に変換していますが,これと同じ原理で,人工衛星も海面水温を測っています.

    • 海面塩分の観測には,波長の長いマイクロ波が使われます.

      マイクロ波は,身近なところで言えば携帯電話の電波や,電子レンジ(英語名Microwave oven)などで,またレーダーや通信分野でも幅広く使われています.


      海面から放射される電磁波は,低周波マイクロ帯で塩分に「感度」があることが知られています(感度とは,塩分の変化に対し電磁波の強度が変化することを意味).したがって,人工衛星が受信する海面からの電磁波の強度変化から,海面塩分を逆推定することができます.

      しかし信号が極めて微弱であるため,塩分観測に要求される技術水準が極めて高く,近年まで実現できませんでした.