①投網作業
まず、船を前進させながら船尾のスリップウェイから海中へトロール網を投入します。次に、トロールウインチを回してドラムに巻き込んであった曳網索を繰り出していきます(図3)。この時、オッターボードはまだ船尾のトップローラーに吊り下げられた状態です(図4)。

図3 投網作業1(網の投入)
トロールウインチには遊びワイヤ、ハンドロープ、網ペンネント、先袖ロープ、トロール網がこの順番で巻き込まれています。ウインチを回してトロール網を引きだし、尾部から海中に投入します。オッターペンネント、先付ワイヤはオッターボードに予め接続されています。

図4 トップローラー
トップローラーにはワープ用の滑車としてだけでなく、曳網鎖を固定してオッターボードを船尾に吊り下げておく役割があります。逆止弁のように働く可動式のストッパーがあり、これを開放しないと曳網鎖が繰り出されない仕組みになっています(橙色:閉鎖状態 青色:開放状態)。ストッパーを開放するには、曳網鎖をワープで引っ張り、ストッパーに負荷がかかっていない状態にする必要があります。
遊びワイヤとハンドロープの連結部に先付けワイヤを接続し、さらにウインチを繰り出していきます。やがてオッターペンネントに張力がかかり、遊びワイヤとワープが弛みます(図5)。

図5 投網作業2(オッターボードと網の接続)
ハンドロープ(黄線)と遊びワイヤ(緑線)の接続部(青丸)には3リンクの鎖が組み込まれており、その中央のリンクに先付ワイヤ(青線)の端を接続します。ウインチを繰り出すと網が後方に下がり、オッターペンネントに張力がかかります。ワープ(黒線)の張力が抜けるため、遊びワイヤとの接続部(赤丸)を切り離すことができるようになります。
ワープの先端が曳網鎖に届くところまでワープを伸ばしたら、一旦ウインチを止めて遊びワイヤとの接続部を切り離します。ワープの先端は曳網鎖の端に、遊びワイヤ(曳網中は弛んだ=遊んだ状態であることからこのように呼ばれる)の端は曳網鎖の途中につなぎ替えます(図6)。

図6 投網作業3 (オッターボードとワープの接続)
ワープの先端と曳網鎖の先端を接続します。遊びワイヤの端は枝ワイヤを介して曳網鎖の途中に繋ぎ留めておきます。
ウインチを巻き込んでワープに張力をかけたら、トップローラーのストッパーを外します。ストッパーが外れたら直ちにワープを繰り出し、オッターボードを海中に投入していきます(図7)。オッターボードを海中に投入した後は、網が目的の深度に到達するまでワープを繰り出し続けます。

図7 投網作業4(オッターボードの投入)
水中に入ると外向きの揚力が生じるため、左右のオッターボードが離れていきます。オッターボードが離れれば網口も横方向に広がります。