セクションアウトライン

    •  地殻・岩石試料は、採集器を利用して地殻や岩石を砕きあるいは削り取って採取します。海底の大部分は堆積物に覆われているので、岩石試料を採取するためには海嶺等の地殻が剥き出しとなった海底の位置を正確に探査する必要があります。また、そのような地形は起伏が大きく採集器が引っ掛かってしまうことも少なくないので、採泥器を扱う場合とは違った観測・操船技術が必要となります。ここではいくつかの岩石に関連する試料の採集器を紹介します。

    • ェーンバッグドレッジ

       チェーンバッグドレッジは金属製の鎖で作られた網と採泥箱を組み合わせた採集器で、岩場の海底や海嶺上を曳航して試料を削り取って採取します。堆積物の中に生息する生物を採取する生物ドレッジとよく似た形をしていますが、硬い海底でこすれても破壊されることがないように鎖でできた網を使用しています。この採集器は海底に着底したら船を前進させ曳航します。堆積物と岩石が混在する海底を図1のようにチェーンバックドレッジと円筒ドレッジとを組み合わせて使用することで堆積物・岩石試料を同時に採取する方法もあります。凹凸のある海底を引きずるので採集器が海底に引っ掛かることがあります。よって、観測中は常にワイヤに掛かる張力を監視し、異常な張力を観測した時は採集器が海底から外れるように操船技術を駆使して採集器を回収します。 

       図13 チェーンバッグドレッジ

      画像提供:産業技術総合研究所地質調査総合センター地質情報研究部門

    • ラー

       ロックコアラ―は金属パイプの上部に錘、下部先端に砕石・採集用の金具を取り付けた採集器です。地殻や岩石が剥き出しとなっている海底に採集器を衝突させて、砕いた試料を機器の先端と錘の側面に塗布したグリースに粘着させて採取します。海嶺のようなギザギザとした複雑な地形であるためにドレッジを曳航することが危険な海底から僅かでも岩石試料を採取するために開発されました。

      ロックコアラ―

           図14 ロックコアラー