5.バイオ資源としての水産物の特徴
海洋には多様な生物種が存在している。
魚を例にとると漁業生産においては、一度に大量に漁獲される多獲性のものが多い。
肉質、成分組成が一定していない。季節や生理状態(産卵期)、部位(背部と腹部)による変動が大きい。
鮮度低下が早く、腐敗変敗しやすい などの特徴がある。
鮮度低下が早く、腐敗変敗しやすいことは、食品としての安定性、安全性に影響するため、非常に扱いにくい食材といえる。
水産学部では、畜肉や穀物よりも取り扱いや加工・保存に注意すべき魚介類の食品化学、生化学を扱うため、卒業生には食品企業の研究開発職で活躍している人材が多い。
6.マリンバイオ資源の利用にあたって
マリンバイオ資源は、水揚げ直後から鮮度の低下、微生物の作用を受け、品質の変化や腐敗、変敗が進む。
これらには、成分変化や食中毒など健康危害リスクの増大も含まれる。
これらの反応は、畜産物や農産物よりも速く、低温でも進行しやすい。
したがって、適切な保蔵の処置が必要になる(冷蔵や冷凍、酸化防止など)。
7.変敗・腐敗による生物資源の流れの変化
適切な保蔵手段がとられない場合、品質低下したものは廃棄の対象になり、赤矢印の方向への流れが太くなる。
保蔵対策は第一に重要であるが、完全利用、有効利用によって、副次産物や廃棄物の最小化も考慮しなければならない。
8.北海道における水産系廃棄物発生量
・水産系廃棄物: 全国でも北海道が最大129万トン 次点は長崎、宮城の20万トン台
北海道の水産物水揚げは全国の1/4 それに応じて廃棄物も多い
・ほたてがいは全国で55万トン水揚げ、うち8割が北海道。貝殻は水産系廃棄物の45%を占める
付着物は垂下養殖で多い 地蒔養殖では付着物少なく貝殻利用しやすい(貝や漁具への付着物は23%)
魚類加工残渣、内臓等が30%程度
・副産物・廃棄物の有効利用は大きなテーマ SDGsに貢献