北極海や噴火湾で海底堆積物を採取して、その堆積物表面(海水と接触する層)の間隙水(含まれる水)を搾り取りました。その間隙水中の有機ヨウ素ガス種の濃度を測ったのです。これで、大気、海水、堆積物に含まれる有機ヨウ素ガスの成分濃度を知ることができました。その平均的な結果を下の表にまとめました。
大気ではヨードメタン(CH3I)がメジャー成分(下の表の一番左の成分)です。大気中で比較的安定に存在するためです。海水中でも、メジャー成分になることがあります。海水中では、ジヨードメタン(CH2I2)もメジャーに躍り出ることがあります。(このことも大きな謎です) 大気でも、海水でも、いつも、一番マイナーな成分がヨードエタン(C2H5I)です(下の表の左2番目の成分)。しかし、堆積物では、ヨードエタンがいつでも、圧倒的なメジャー成分になることを発見しました。これは、ヨウ素循環を理解するうえで、大きな謎だと思います。現在、その謎を解くために、堆積物に降り積もる有機物を培養する実験で検証中です。近々、論文にする予定です。
