セクションアウトライン

  •  CTD採水システムによる観測は停船した状態で行います。観測地点に到着して船が観測体制に入ったら、図9に示す順番で作業を進めます。CTD観測ではワイヤを繰り出して水中局を海中に降下させることを「ダウンキャスト(Down Cast)」、その反対にワイヤを巻き上げて水中局を海中で上昇させることを「アップキャスト(Up Cast)」と言います。

    CTD観測作業の流れ

    9 CTD観測作業の流れ

    ①採水器のセッティング

     水中局の投入前に採水器の上下の蓋を開けて採水装置の投入前準備をします。また、採水器の取水口と空気孔が閉まっていることを確認します(図10)。

    CTD採水システム 採水器のセッティング

    10 採水器の投入前準備

    a)上蓋に接続されたテグスの先端を採水装置のトリガーにひっかけて上蓋を開けた状態に固定します。 b)上蓋のテグスから分岐させて下方に伸ばしたテグス下端のスナップフックに、下蓋のリング状テグスをかけて下蓋を開けた状態に固定します。 c)エアベント(空気孔)とペットコック(採水口)が閉まっていることを確認します。エアベントは時計回りに回してねじ込むと閉まります。ペットコックは手前に引き出すと閉まります。

    ②水中への投入作業

     水中局をクレーンで海面上に吊り上げてからケーブルを繰り出して水中に投入します。この際、船体動揺によって水中局が振れ回らないよう、ロープなどで振れ止めをとりながら作業します。水中局が振れ回ると、舷側と衝突してセンサや採水器を破損したり、作業者を負傷させたりする恐れがあります。

    ③ダウンキャスト

     海中に投入した後、オペレータが船上局を操作してデータの取得を開始します。目的の深度まではケーブルを繰り出して、連続的に鉛直分布を計測します。オペレータはCTDの圧力センサの出力値をもとに、目的の深度でケーブルの繰り出しを停止させます。

    ④アップキャスト

     ケーブルを巻き上げて水中局を船上に回収するまでの間に、任意の水深で採水します。オペレータはCTDセンサの値を監視しながら、予め決めておいた採水深度でワイヤの巻き上げを停止させた後、船上局から水中局へ採水信号を送って採水器の蓋を閉めます。

    ⑤船上への揚収作業

     採水を終えたら、水中局を船上に揚収します。

    ⑥配水作業

     水中局を船上に揚収したら、採水器からサンプル瓶に海水試料を取り分ける作業(配水作業)を行います。