섹션 개요

    •  ポンプを用いることで、表層の海水を連続的に採取することができます。

       船内実験室や研究上必要な場所へ供給されている海水は「研究用海水」と呼ばれ、船舶のエンジン冷却・船体の洗浄・サニタリーなどに用いられる「雑用海水」とは船底の海水取水口・汲み上げポンプ・船内配管が区別されています。また、研究用海水の取入れに使用するポンプや配管には液質変化を抑えるためのいくつかの配慮がなされています。雑用海水は配管への生物付着防止のために海水取入れ時に薬物投入や海水電気分解による微生物の死滅作用により水質を変化させていますが、研究用海水は極力海水の成分を変化させることなく取水されます。そのため配管内の腐食を抑えるため内壁を樹脂加工したパイプが使用され、定期的に配管内に沈着した汚れを取り除くための配管洗浄を行います。こうして汲み上げられる「研究用海水」は船舶の航行状態や天候条件に関わらず、航海中は常時採水することができるので、表層海水モニタリングシステム(図3)への給水によって航路上の海表面の情報(水温・塩分など)を継続して計測および記録することが出来ます(図4)。



    • おしょろ丸 表層海水モニタリングシステム

      3 おしょろ丸(北海道大学)の表層モニタリングシステムの計測部

       表層モニタリングシステムは各種センサが備わった表面海水で満たされる容器の計測部と取得されたデータを収録あるいは各種要所へのデータ配信を行う制御部が組み合わされたシステムです。計測部は研究室のシンク際に設置され、研究用海水が常時供給されています。タンクの中は海水が確実に満たされた状態になっており、その中に差し込んだ2本の水中センサで水温・塩分・クロロフィル・濁度をそれぞれ計測します。タンクの下部から研究用海水を供給して上部から溢れ出させ、センサ値の異常の原因となる気泡が発生しにくい設計となっています。また、光学式センサ(クロロフィル・濁度)に影響を与えないよう、タンクは遮光性および不反射性の材料で作られています。計測部が取得した情報は、センサにつながれたケーブルを介してデータ収録用PCに保存されるとともに、専用のソフトウェアで逐次表示されます。

    • 4 表層モニタリングシステムで観測された海面水温(SST: Sea Surface Temperature


    •  一方、船底汲み上げ方式によって採取される海水は船体や配管から溶出する金属元素を含むので海水中の微量金属元素の分析を目的とする試水には利用できません。そこで、船体からの汚染の少ない海水を連続的に広範囲にわたって採水するために曳航体を用いた手法が用いられます。

       ブーム(張出棒)を用いて船体から離れた位置に曳航体を下ろして船を航行させ、曳航体の先端から海水を船上に汲み上げます。こうすることで船体とは接触の無い海水試料を採取することが出来ます(図5)。


    • 曳航体採水

      5 曳航体採水概念図