ポンプを用いることで、表層の海水を連続的に採取することができます。
船内実験室や研究上必要な場所へ供給されている海水は「研究用海水」と呼ばれ、船舶のエンジン冷却・船体の洗浄・サニタリーなどに用いられる「雑用海水」とは船底の海水取水口・汲み上げポンプ・船内配管が区別されています。また、研究用海水の取入れに使用するポンプや配管には液質変化を抑えるためのいくつかの配慮がなされています。雑用海水は配管への生物付着防止のために海水取入れ時に薬物投入や海水電気分解による微生物の死滅作用により水質を変化させていますが、研究用海水は極力海水の成分を変化させることなく取水されます。そのため配管内の腐食を抑えるため内壁を樹脂加工したパイプが使用され、定期的に配管内に沈着した汚れを取り除くための配管洗浄を行います。こうして汲み上げられる「研究用海水」は船舶の航行状態や天候条件に関わらず、航海中は常時採水することができるので、表層海水モニタリングシステム(図3)への給水によって航路上の海表面の情報(水温・塩分など)を継続して計測および記録することが出来ます(図4)。