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    • 核燃料の再処理施設とは

       原子力発電所では二酸化ウランの燃料ペレットが封入された燃料棒(火力発電所で言う石炭に相当します)を用いて、ウラン235が核分裂する際に出る熱エネルギーで水を蒸発させて(お湯を沸かして)、その水蒸気で発電タービンを回し、電力を得ています。




       原子力発電では使い切ったら新しい燃料棒と交換します。使い切った燃料を「使用済み燃料棒」と言います。しかし、火力発電と違うのは、使用済み燃料棒には結構燃え残りがあります。つまり使用済み燃料棒にはかなりの未反応のウラン235やウラン238から生成したプルトニウムがあるので、せっかくなら取り出して、再び燃料棒等を作ろう、とする場所が「再処理施設」なのです。

      *詳しくは、電気事業連合会HP:https://www.fepc.or.jp/nuclear/cycle/recycle/index.html




    • 何故、核燃料再処理施設から放射性核種が放出されるのか?

       原子力発電で使用された、使用済みの核燃料は、再処理施設においてせん断、溶解されたのち、分離、精製され、核燃料物質と、核分裂生成物に分離されます。この過程において、気体が発生したり、廃液が生じます。これらの廃棄物には核分裂生成物(137Csや90Sr等)が含まれており、周辺公衆の線量が法令で定める限度を超えず、かつ、合理的に達成できる限り低く保つ(ALARA:as low as reasonably achievable)という考え方のもとに、管理しながら、環境中に放出しています。

       その放出量については、各国の法律に従った、施設独自の管理目標値(制限値)が定められています。

      詳細は、ATOMICAの再処理施設からの放射線(能)のページへ(https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-01-02-06.html



    • 欧州では、核燃料の再処理施設が稼働しており、その施設から人工放射性核種が(管理されながら)計画的に放出されています。

      再処理施設の場所は、フランスのラ・アーグとイギリスのセラフィールドの二箇所です。

      下図に欧州の代表的な再処理施設(右図)の年間放出量(1970-1998年)を示しています。

       この期間にセラフィールドからは約40 PBqの137Csが海洋に放出されました。また、1976年は最大5.2 PBq/年間(福島第一原発事故直後の直接漏洩の1.4倍)に達しましたが,1998年には0.008 PBq/年間にまで減少しました。

       ラ・アーグからの放出量は, 137Csの放出総量で比べると,セラフィールドの3%未満ですが、これは年間の使用済み燃料の処理量の違いにも起因します。





      下に、欧州の核燃料再処理施設からの放射性セシウム放出量の年々変化を示しました。