章节大纲


    • 大気圏内核実験による137Csの海洋への放出


       1945年以降、約500回の大気圏内核実験が行われました。大気圏内で核実験をすると環境中に放射性核種が大量に拡散されるので、1963年に部分的核実験禁止条約が締結されました。おもに、1945年から1963年の間に実施された大気圏内核実験が、海洋における人工放射能核種の供給源としては最大となっています。


      海洋(南北太平洋、南北大西洋、南北インド洋)における放射性セシウム(137Cs)の放射線量を下のグラフに表しました。

      単位は、PBq(ペタベクレル)です。ペタは、1015  を表します。ベクレルは、放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数(放射能)を表す単位です。



    •  核実験によって放出された137Csは、チェルノブイリ事故の10倍以上、福島第一原発事故由来の40倍以上になります。なお、福島第一原発事故の一年前の2010年では、日本沿岸の海水でも137Csが検出されています。これは核実験由来のものが50年以上経過しても、なお残っているためです。