ミズクラゲのからだ
章节大纲
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ミズクラゲの体の大部分を占めるのは水分(95%)に富んだコラーゲンのゲル(メソグリア)です。メソグリアにはアメーバ細胞がまばらに存在し、これは生体防御やゲルの修復、栄養の輸送などを担っているようです。メソグリアの表面は一層か二層の薄い細胞層が覆っていて、その中に神経と筋肉、消化と吸収、生殖細胞の形成など主要な生命機能が集約されています。
傘の縁には餌を捕らえる触手があり、触手の表面には毒針の収められたカプセルである「刺胞」がびっしりと並んでいます。餌となる動物プランクトンが刺胞に接触すると、毒針が勢いよく射出され、獲物の体に突き刺さって毒液が注入されます。仕留めた獲物は体表から分泌される粘液に絡め取られて、体表の繊毛の運動によって傘の縁に集められます。集められた餌は、さらに口腕によってなめとられ、口腕の中を通って傘の下面の中央にある口へ運ばれます。口のすぐ上は、多くの場合4つある胃腔になっていて、胃腔の外縁をかたどるように胃糸と生殖巣があるため、透明な体の中央に四つ葉のクローバーのような形が見えます。胃糸は密生する短い毛束の様に見え、引っかかった餌は分泌される消化酵素によって消化されます。胃腔が6つある個体もよく見られ、3、5、または7つの場合もあります。それらの場合は口腕もそれぞれ6、3、5、7本となります。
消化されて液状になった餌は胃腔から放射状に拡がる放射管を通って全身に運ばれます。放射管は腸管のように栄養吸収器官として働き、また、血管のように全身に栄養を巡らせる役割があります。ただ、心臓に相当するものはなく、放射管中の液の流れは内側に生えた繊毛の運動によるものです。胃腔から傘の縁に向かう流れの放射管と、傘の縁から胃腔に戻る流れの放射管があります。胃腔に戻ってくる液体には老廃物や消化吸収しきれなかったものが含まれていると考えられますが、それら(排泄物)は再び口腕を通って海に放出されます。口腕の中で食物が通るルートと排泄物が通るルートは異なっています。
