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  • クラゲには、ミズクラゲ、タコクラゲ、オワンクラゲなど刺胞動物門(サンゴ、イソギンチャク、ヒドラなども含まれる)に属するものと、ウリクラゲなど有櫛動物門に属するものがあります。これらは古くは腔腸動物門としてひとまとめにされていましたが、昨今の遺伝子解析の成果もあって、かなり異なる動物群であることがわかってきました(下図のBやC)。

    また、クラゲは約6億年前、神経と筋肉を最初に獲得した動物であると考えられています。神経と筋肉を獲得した動物は、大型化しても「行動」することが可能になり、様々な環境に適応して劇的に進化し、知性を発達させました。クラゲの筋肉は、原始的とはいっても、細胞内のエネルギー(ATP)を効率よく使って大きな力を発生させるアクチン-ミオシン系によって構成されます。また、神経には、光や接触などの刺激を受容して伝達する感覚神経、筋収縮を制御する運動神経、各種器官の働きを調節する自律神経に相当する役割分担が既に見られます。

    クラゲの神経は散在神経系であり、脳はありません。しかし、観察していると、あたかも考えて行動しているような動作も見られます(動画:シロクラゲ・ポリプの捕食行動)。刺胞動物のクラゲにおいて、拍動のリズムを作り出すのは傘の縁にある神経細胞です。また、傘の縁には光や重力を感じる感覚器があり、種によってはレンズや網膜を備えた眼を持っています。そのため、傘の縁には、リング状に神経細胞が集中しており、中枢神経のように働いていると考えられています。

    刺胞動物と左右相称動物の間では、筋肉や神経が動作する分子レベルの仕組みに共通点が多いのですが、有櫛動物はかなり異なる様で、神経伝達物質も他の動物とは異なっていす。