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  • 海洋を観測する際には,深度という空間的な情報を考えなくてはならないことが陸上と最も異なる点の一つである。例えば,生物種ごとの分布を調べる場合,海洋では水平的に同じ場所であっても深度によって生息している生物が全く異なる。つまり,海洋では3次元的な非常に広い空間を相手に観測をすることとなる。さらに海洋では光が届きにくい,水圧がかかるといった問題から直接その場所を観測することが非常に難しい。そのため,海洋を効率的に観測するためには,遠隔的に広い範囲を観察できるツールが必要である。

    音波は電波や光と比べて,液体中や固体中でも良く透過するという性質を持つ。そのため,音波は水中を広範囲に見渡すための最良のツールとして利用されている。当研究室では,この音波を利用した海洋観測,特に海洋生物の資源量推定に関する研究をメインテーマに取り組んでいる。魚類から動物プランクトンまで,音波で観察できる様々な生物を対象とし,それらの資源量を精確に見積もるための研究を行っている。

    音波で海中をのぞくことで今まで知り得なかった,見えなかった色々なものが見えてくる。ここでは,音波を利用した観測機器や,どのように海洋生物の資源量を推定するのかを紹介する。