圧力傾度力とコリオリ力がバランス(地衡流があるとき):エクマン輸送で収束した海面の斜面(盛り上がり)を維持するには、圧力傾度力の水平成分と釣り合うだけのコリオリ力が作用している(図d)。コリオリ力が作用しているということは、その水が移動しているのである。つまり左側斜面では、斜面領域の水が紙面の裏へ抜ける方向に流れており、これを地衡流という。この地衡流に働くコリオリ力が図dの赤破線矢印である。この盛り上がりが図d右のように閉じていれば、地衡流も閉じて循環流となる。

以上の理由で、収束域の亜熱帯では海面が盛り上がっているので、時計回りの循環が生じる。発散域の亜寒帯では海面が降下しているので、同様の理由(逆の関係)で反時計回りの循環が生じる。北太平洋の亜熱帯でも、亜寒帯でも、日本列島寄りの西岸で循環流が強化されており、その強化された西岸境界流が黒潮と親潮である。西岸強化の理由を理解するには、渦度と渦位についての理解が必要である。その前に、地衡流で別の例を一つ紹介しよう。