生殖系列キメラ
魚類の胞胚の細胞は分化多能性を持つので、他の胚から細胞を移植するとキメラを誘導できます。この時、生殖系列の細胞が移植されると、体細胞キメラであると同時に生殖系列キメラにもなります。図10に示すように、キンギョの胚盤にフナの胚盤を移植するとキンギョとフナの両方の細胞を持ったキメラができます。このキメラは、キンギョとフナの両方の卵を産みます。すなわち、一個体で2種類の卵を産む魚を作ることができるのです。
また、生殖系列細胞の分化のところで示したように、人工mRNAを受精卵へ顕微注入するとPGCsを光らせることができます。この生殖細胞のみを取り出して他の胚に移植すれば、図11のように生殖系列キメラを誘導できます。
さらに、宿主の
PGCsを作らせなくしてドナーから一つの
PGCを移植すると、たった一個の
PGCからでも生殖腺は形成されてきます(図
12)。