魚類の生殖系列の細胞は、卵細胞質の中に蓄えられた「生殖細胞質」と呼ばれる特殊な細胞質を取り込んだ細胞から生じます。生殖細胞質は、卵割の際、初期卵割溝の両側に集合します。細胞分裂が進み、この細胞質を取り込んだ細胞のみが生殖細胞へと分化します。初期の生殖細胞は始原生殖細胞(primordial germ cell:PGC)と呼ばれます。生殖細胞質にはタンパク質やmRNAが含まれています。この生殖細胞質を物理的に取り除いたり、mRNAが翻訳されてタンパク質になるのを阻害したりすると生殖細胞がなくなり、不妊の個体となってしまいます。また、この生殖細胞質を模した人工的なmRNAを受精卵に顕微注入すると、生殖細胞質に蛍光を与えたり(図8)、生殖細胞を光らせたり(図9)することができます。