「カイアシ類 Neocalanus cristatus

Neocalanus cristatusは北太平洋亜寒帯域に分布する大型カイアシ類で、体長は1 cm弱にまで達します。本種は親潮域における動物プランクトン重量の約30%を占めて、魚類や鯨類、海鳥類の重要な餌生物です。本種は春に表層で成長し、体内に油脂として栄養を貯め込んだ後に、水深1000 m以深に潜り、夏~冬は深海で過ごす休眠期を持ちます。再生産は深海で行われ、ふ化した幼生は油分を多み、脱皮を繰り返しつつ表層に回帰する、1年の生活史を持っています。

「カイアシ類 Eucalanus bungii

Eucalanus bungiiは北太平洋亜寒帯域に分布する大型カイアシ類で、体長は7 mmぐらいになります。本種は親潮域における動物プランクトン重量の16%を占めることが知られています。カイアシ類は卵からふ化した後、発育段階としてノープリウス期を6期、コペポダイト期を6期持ち、それぞれの発育段階の間には脱皮を行います。本種は植物プランクトンが乏しい秋~冬には水深500-1000 mの深海に潜る休眠を行います。本種の休眠を行う発育段階にはコペポダイト3期から5期まで幅があり、海域によっては2年の世代時間を持つと考えられています。

「カイアシ類 Calanus hyperboreus

北極海海盆域に出現する大型カイアシ類の1種で、北極海固有種です。体長はおよそ1 cmになります。体内に見える透明な液体は、蓄積した油球(主にワックスエステル)です。この蓄積した脂質のエネルギーを使用して、結氷前に深海1000 mまで潜り、そこで休眠を行います。その後、深海で成熟・交尾を行い、卵を産出します。北極海内で世代時間は3-5年と幅があり、その長さは海域の一次生産量の多寡によって決まります。


「カイアシ類 Heterorhabdus tanneriに寄生するせん毛虫類」

海の動物プランクトンに普遍的に最も多く出現するのがカイアシ類です。カイアシ類は、様々な生物が寄生宿主(きせいしゅくしゅ、やどぬし)として利用しています。写真は北太平洋の深海に分布する、体長5 mmほどの肉食性カイアシ類 Heterorhabdus tanneri(ヘテロラブダス・タンネリ)です。体内の点は全て、体内に寄生するせん毛虫類です。寄生性せん毛虫類はカイアシ類の運動能力を奪うこと無く、しかし、それ以外の組織を食べてしまっています。せん毛虫類は普通に浮遊生活を送る種も多くいます。
마지막 수정됨: 목요일, 14 1월 2021, 2:10 PM