CREEN人財育成カリキュラムスポット参加レポート

長崎大学大学院 総合生産科学研究科 修士1年 佐藤望結


今回、CREEN人材育成カリキュラムの一環としてサーモン養殖場とサーモンの加工工場の見学を行いました。私は、水産食品の加工時に排出される排液を用いて細胞培養ができないかといった研究を行っています。そのため、実際に水産物の加工によって排液ができる現場を見学し今後の研究活動に生かしたいと思い参加しました。また、サーモンの養殖は長崎ではあまり馴染みがないため、この機会に見学し、養殖への知識を広げることも参加の目的でした。

実施内容

・サーモン生け簀の見学、活〆の見学、餌やり体験

朝の7時に入船漁港に集まり、サーモンの水揚げの見学と、餌やり体験を行いました。生け簀は大きさの違うものが何個かあり、漁港の形に合わせた作りになっていました。今回見学した生け簀には秋から育てた3㎏サイズのサーモンが養殖されていました。サーモンの水揚げは、生け簀に直接船をつけ、水揚げしたものからすぐに船の上で鰓を切って活〆をして、氷の入った塩水に入れていました。このスピード感を持った〆方によって函館サーモンのおいしさが保たれているのだと感じました。
餌やり体験では、私は実際に体験しませんでしたが、思っていたよりもコツがいる作業だと感じました。餌自体も栄養や環境に配慮したものを飼料会社さんと一緒に作っていらっしゃって、餌をあげる量やタイミングまですべてが計算し尽くされていることに、マルナマさんの函館サーモンへのこだわりを感じました。

・サーモン加工工場見学、試食、座談会

加工工場見学では、サーモンを3枚下ろしにして塩味を加えて寝かせる工程や、真空パックにする工程、ラウンドのまま出荷する過程、-25℃の冷凍庫の見学を行いました。三枚おろしや真空パックは主に機械が行いますが、商品として美しく見せるために、フィレの端を処理する工程や、フィレの大きさを見極めて真空パックの機械に乗せるのは人の手が必要で、機械がたくさんあってもまだまだ人が必要な場面が多いことが分かりました。ラウンドのまま出荷する工程はほとんど人の手で行われていました。生け簀見学の際にサーモンは全て未成熟のメスであり、卵ができたものは売らない。ということをお聞きしていたので、どのようにして見分けているのかを伺ったところ技能実習生の経験で培ったものであると知りました。難しい作業をスピーディーにこなしている姿を見て、日本において技能実習生は欠かせない存在であることを実感しました。最後に-25℃の巨大な冷凍庫の見学を行いました。中はフォークリフトが縦横無尽に走れるほどの広さがあり、サーモン以外にもたくさんの海産物が保管されていました。これらはバーコードで保管されていて、誰が見ても分かるようになっていました。
加工工場を見学した後に函館サーモンの試食を行いました。安い回転ずしのサーモンしか食べたことがなかったため、脂が乗りつつもさっぱりとした函館サーモンを食べて、普段のサーモンとの違いに驚きました。餌の工夫や育て方の違いで味が大きく異なると分かり、マルナマさんがこだわりを持って育てていらっしゃる理由に納得しました。
昼休憩後には、函館サーモンに関する座学がありました。講義では、函館サーモンのブランド名を広めるための取り組みや養殖へのこだわり、さらに養殖事業を始めた経緯について学ぶことができました。座学後の質疑応答では、生け簀が漁港の形状に沿って設置されている理由についてのお話が特に印象に残りました。漁港は漁師の方々が漁業で利用する大切な場所であるため、妨げにならないよう生け簀の大きさを必要最小限に抑えているとのことでした。また、漁師の方々と同じ目線に立ち、配慮を欠かさない姿勢を大切にしており、養殖を行わない時期には生け簀を陸に上げて網の清掃・整備を行い、養殖の季節になると再び海へ設置しているそうです。この話を聞き、私はマルナマさんが、入舟漁港よりも約5倍の飼育能力を持つ湯川沖の生け簀を所有しているにもかかわらず、なぜ入舟漁港での養殖を続けているのか疑問に思い、質問しました。これに対し、入舟漁港は漁師の方々との交流の場として重要な役割を果たしており、もし湯川沖で問題が発生した際でも最低限の生産を維持するために必要であると教えていただきました。このお話から、養殖業は単に会社だけで完結するものではなく、地域の漁師の方々との信頼関係や協力体制によって支えられていることを学びました。函館サーモンの養殖には、魚を育てる技術だけでなく、地域とのつながりを大切にする姿勢が欠かせないのだと感じました。

・学びや、これまでの授業・体験との違い

今回の研修を通して鮭の漁獲量減少という課題に対し、どのように解決へ取り組んでいるのか、また養殖業が抱える新たな課題について学ぶことができました。私はこれまで一つのテーマについて研究を進めてきましたが、自分が今後どのような視点で研究に取り組むべきか悩むことがありました。しかし今回の研修では、実際に課題解決に取り組んできた方々のお話を伺うことで、課題を多角的に捉え、現場の状況や関係者とのつながりを踏まえながら解決策を考えることの重要性を学ぶことができました。そのため、この研修に参加できたことを大変有意義に感じています。また、私の研究対象である水産食品加工排液についても、どのような工程で発生し、どの程度の量が生じるのかを現場で見ることができました。このことは今後の研究活動にとって非常に貴重な経験になったと感じています。さらに、函館という長崎とは水温や潮流などの海洋環境が異なる地域で育てられた魚を実際に見て、味わうことができたことはこれまでの体験とは大きく異なる点だと思います。このような貴重な学びの場を提供してくださった株式会社マルナマ古清商店の皆様をはじめ、本カリキュラムに携わってくださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。今回の研修で得た知識や経験を、今後の研究活動に生かしていきたいと思います。

Terakhir diubah: Selasa, 30 Juni 2026, 12:15