1.はじめに

104日に北海道函館市を訪れ、戸井漁協組合昆布種苗センター見学、小安地区のコンブ漁師の方々との意見交換、南かやべこんぶ加工センターの見学を体験させていただきました。私は、大学の講義の中で海藻について興味を持ったため、コンブの生産量・生産高ともに日本一の函館で学べる事、普段通っている学校以外の学生と交流できることを魅力的に感じ、研修に参加させていただきました。


2.実習内容

戸井漁協組合昆布種苗センター


種苗センターでは、養殖のスタート地点である種苗の生産に多くの人手と労力が費やされている現状を学びました。特に、種を付ける作業である「種苗糸をさす」作業は、陸上で行うと種が枯れてしまうため、船上で早朝から行う必要があり、非常に過酷な重労働です。実際にロープに種苗糸をさす作業を体験させていただきましたが、想像していたよりも固く時間がかかり大変さを実感しました。コンブの生産量を増やすために種苗を沢山生産しても、人手不足の課題から作られた種苗の世話が行き届かず枯れてしまったり、余ってしまうケースも発生しています。ボトルネックは漁師さんのキャパシティであり、現場では機械化のニーズが高まっていることが理解できました。

また、種苗育成における環境管理についても、細やかな注意が必要であることが分かりました。育成時の光の管理では、光が直線的で扱いにくいLEDよりも蛍光灯の方が優位であるという、現場ならではの技術的な知見を得ることができました。

 

小安地区のコンブ漁師の方々のお話

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コンブ生産の現状の中でコンブに付着してしまう不純物についてのお話を聞かせていただきました。年によって付着量に違いはありますが付着物の成長スピードは速く、品質に問題がないように擦って落とす作業は時間がかかるため、他の作業をやる時間が無くなってしまう現状を学びました。擦り過ぎても品質に問題が生じてしまう間ため、研究機関や種苗センターと連携し、原因解明と改善策の模索が急がれていることを知りました。また、水槽の使用率も15%ほどで海面も収穫したコンブを干す場所も余っているが、人手不足の問題は深刻で生産量を増加させるのは厳しい現状も知ることができました。

間引きしたコンブについては様々なコストを考えると現状では海にそのまま捨ててしまった方がよく、間引きコンブの活用の難しさを痛感しました。

さらに「収穫したコンブを自動で巻いてくれる機械が欲しい」という、現場で働いている側の生の意見も聞かせていただける貴重な経験ができました。

 

南かやべ漁協組合こんぶ加工センター

プラスチック容器に入っているゴミ箱

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加工センターでは、最終製品の品質を保つための徹底した湿度管理が不可欠であることを学びました。コンブは湿度が60%を超えるとカビが生えるリスクがあり、4757%が最適な湿度範囲とされています。また、天然コンブは2年物の方が1年物よりも出汁が濃くなるという特性があるため、長期保存の際には天然のものは段ボールで保管するなど、丁寧な取り扱いが求められます。

加工工程においても、資源の有効活用が徹底されていました。昆布を切る際に発生する割れたり欠けたりした部分は、捨てることなく肥料や家畜の餌として活用され、特に豚の餌にすることで「美味しい豚」になるという話は、循環型社会への取り組みの具体例として非常に興味深いものでした。

また、「函館の昆布を多くの人に知ってもらい、食べてもらいたい」という強い思いから、販売価格が高くなりすぎないよう、販売価格から逆算してギリギリの仕入価格を提示するという、戦略的な価格設定を行っていることが分かりました。これは、地域のブランド価値を守りつつ、消費者の手に届きやすいようにするための企業努力であり、その熱意に感銘を受けました。

  

3.研修を終えて

私たちの食卓に届くまでに、種苗生産から養殖、そして加工・流通に至るまで、多くの手間と技術、そして地域資源を大切にする人々の情熱があることを実感しました。特に、人手に頼る部分が多く、人手不足の課題を抱える生産現場の現状と、資源を無駄なく活用する工夫が強く印象に残りました。コンブ漁師の方々のお話は昆布漁業の表面的な情報だけでなく、現場のリアルな声と課題を知る貴重な機会となりました。課題解決のために複合的な知識の必要性を痛感したためこれからの大学での学びに生かしていきたいです。また、一緒に研修を行った学生さんからも実りのある話をいただき、自分の将来の進路を考える上で参考にしていきたいです。


最後に、このような貴重な機会をいただきありがとうございました。本カリキュラムに関わられている皆様に深く感謝します。

  


Terakhir diubah: Rabu, 22 Oktober 2025, 09:42