実施した内容

 一二月七日、函館にてCREEN人材育成プログラム サーモン養殖生け簀見学研修2・池入れ期、水産加工工場見学に参加した。

 最初に、漁港内にあるサーモン養殖生け簀を見学した。この生け簀は全部で六つあり、合計で一万六千匹飼育されている。ここでは餌のやり方や生け簀の説明、水温等の測定方法、餌やり体験を行った。餌はペレットという浮く餌を使い、一日二回八時半と十四時に、水温・風・気温・OD等をその都度測定し、餌の量をなるべく食べ残して、水が汚れないように調節する。また収獲時期になると、仕上げとしてイカを含んだ餌へと変え、養殖魚特有の餌臭さを消すため、出荷日一週間前から餌を止める、餌止めを行う。これは胃の中にあるものを消化させるためである。マグロは餌一キログラムで百グラム太るのに対し、サーモンは七百グラム太る効率のよい魚だが、太りすぎても死んでしまう。

 水揚げをする際は、一匹一匹タモですくい、その数匹を函館サーモンのことを理解していただけるお店に卸す。固定費と変動費の割合を見て価格を決める。個人店など比較的小規模のお店を経営している方にとっては数匹のため取り扱いやすい。また一度水揚げすると一旦生け簀を撤去する。他の漁師の方の邪魔にならないためと、生け簀のメンテナンスのためである。

サーモンの養殖生け簀
                             

 次に、水産加工工場にて見学・職員の方のお話・サーモンの食べ比べを行った。加工工場は、従業員三十人ほどが働く創業八十五年の歴史ある場所だ。ここで先ほどのサーモン含む様々な魚種を解凍し、ヒレをとり、センターカット・半身にする。そして塩水に漬け凍結する。魚種により体の構造が異なり、歩留まりが悪くなるので同じ機械は使えない。機械のメンテナンスを年一回しても数百万かかるため、故障しにくく、長持ちする機械を考えねばならない。

 梱包・選別された商品はー三十~四十度にもなる貯蔵室に運ばれる。ここでは機械で場所を管理しており、この加工場で色々な魚種合わせ三~四トン加工されている。もし停電が起こったとしても、冷凍保存されている魚が保冷剤代わりとなり貯蔵室内の温度を保つ。

 その後はもう少し掘り下げた説明をしていただいた。仔魚は福島より十一月、五百グラム~一キログラムほどの大きさのものを仕入れ、五・六月収獲する頃には三~五倍もの大きさ、最大五キログラムにまで成長する。サーモンを海水に慣らすため、活魚車にて少しずつ海水を短時間で混ぜていく。海面養殖をするにあたって周辺の漁業者の理解、市役所等からの場所の許可、試験養殖業には必要ないがそれに対するお金も必要になる。

 最後に養殖場のサーモンとチリ産のサーモンで食べ比べをした。養殖場で獲れたサーモンの方が箸で持った時の弾力がしっかりしており、脂も軽く、くどくないと感じました。また魚臭さもあまりなく、違いがこんなにもはっきりしていることがとても印象深く残った。

サーモン食べ比べ

学びや発見のあった部分・自分自身が変化した部分

 自分自身、幼少期の頃から思い描いていた道は違う方向に進み、何になりたいのか何をしたいのかあやふやなまま、水産学部に入学した。自分の水産業に対する視野・知識を広めるため、このプログラムに参加し、その過程においてサーモンの養殖、加工、自分たち消費者のもとへ届くまでたくさんの段階を踏んで、たくさんの方々が関わっていることを知ることができ、水産業の世界が幅広く、深いことが分かった。

 また、将来どういう職業に就きたいのかというようなお話になった際、企業・会社から求められる期待に応えられる対価を払えるのかとおっしゃられ、はっと気づかされました。他にもサーモンの養殖のことは全く分からず、ほぼゼロの状態から最初はお一人で、数年経った今は三人で養殖をされていることに驚き、今の仕事が一番楽しい。やりがいがあると力強く自信を持っておっしゃっていて、強い憧れを感じた。

 これからの大学生活を通して、大学の講義やこのようなプログラムを受けて、自分の魅力・武器になるよう身に付けていきたいと改めて思えた。

これまでの授業や体験と何が異なるのかの省察

 養殖場や加工工場などの水産業の見学をしたのは初めてだったのでとてもよい経験になりました。

さらなる要望

 参加者への情報はみな平等・共有していただけると嬉しいです。

大学関係者・漁業関係者の皆様方へ

 最後にはなってしまいましたが、お忙しい中この度このような大変貴重な体験の場を設けていただき、誠にありがとうございました。


最終更新日時: 2024年 12月 25日(水曜日) 10:05