琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 修士1年 仲田桜子
実施した内容
私は12月7日に行われた水産学演習に参加しました。沖縄からの参加だったため、初日と最終日はほとんど移動という2泊3日の長旅でした。実習の午前中は、実際に海に出てサーモンの海面養殖現場を見学しました。生簀の上から給餌もさせていただき、貴重な体験となりました。その後に昼休みがあり、昼食は寿司屋『函太郎』に連れていってもらいました。寿司はどれも新鮮で美味しく、北海道の海の恵みを存分に味わうことができました。午後はマルナマ古清商店さんの本社を訪れ、水産加工場の見学と、サーモン養殖事業の取り組みについての説明を受け、質疑応答も行いました。さらに、実際にチリ産サーモンとマルナマさんが養殖した北海道サーモンを食べ比べる機会がありました。どちらも美味しかったのですが、マルナマさんの養殖サーモンは格別でした。実習後は函館の観光名所を巡り、夕食では函館の美味しい海産物を楽しみ、充実した時間を過ごしました。
学びや発見のあった部分・自分自身が変化した部分
私は現在、陸上養殖している魚の餌やり・掃除・水質チェックなどを行っていますが、海面養殖と陸上養殖には多くの相違点があることに気づきました。実際に海面養殖の生簀の見学をしたのですが、雪が降っていて非常に寒く、外での作業が大変だと感じました。この点が海面養殖の厳しさの一つだと思いました。一方で、閉鎖循環型の陸上養殖では糞や残餌で水が汚れるため、水質を保つためにろ過や掃除が必要ですが、海面養殖ではその手間が少ないため、便利だと思いました。また生簀のサイズも陸上養殖より広々と使える点は魅力的です。さらに、陸上養殖ではろ過装置やクーラーを常に稼働させる必要があるため、電気代などの莫大な費用がかかりますが、海面養殖ではそのコストを抑えられる点がメリットだと感じました。しかし、海面養殖では生簀を設置するために漁師さんの理解が必要で、そこは陸上養殖にはあまり無い課題だと思いました。
私自身の考えが変化した点は、海産物の取れ高が減少するなかで「養殖すれば大丈夫」という考えが甘かったことです。これまでは、養殖の技術があれば、取れ高が減少してもある程度需要と供給のバランスが取れるだろうと思っていましたが、養殖は思った以上に手間がかかり、その分単価も高くなることを学びました。気候変動や乱獲など、人為的影響を最小限に抑えることが漁獲高減少を防ぐ最良の方法かもしれません。しかし、養殖技術発展の先駆けとなるのが私たち研究者の役割だと思いました。養殖技術がさらに発展し、家庭の食卓を支える身近な存在になることを願っています。
これまでの授業や体験と何が異なるのかの省察
今回見学させていただいたマルナマ古清商店さんでは、サーモンの養殖から販売まで一貫して行っており、その過程を知ることができました。函館サーモンには独自のストーリーがあり、それが購買意欲を引き出す要素となっているのが印象的でした。また、普段私たちが飲食店や食卓で口にする魚が、どのようにしてここまで届くのか、背景を考えることができる良い機会だったと思います。また、担当の社員の方々に直接質問ができたことや、実際に養殖のサーモンを試食できたことも良い収穫でした。さらに、企業側から学生に質問があり、一方的なコミュニケーションではなく企業と学生の双方向のやり取りができた点も、今回の水産学演習の大きな魅力だったと思います。