この度、共創の場×CREENカリキュラムのプログラムの一環として、北海道で盛んに漁獲、養殖が行われているコンブの加工現場及び、種苗生産を見学した。以前の研修にて、北海道でのコンブ漁獲量が年々減少していることから養殖の重要性が高まっていることを学んだ。また近年、コンブは日本国内だけでなく健康志向の高い欧州諸国でも消費されているように、世界的に需要増加の傾向が見られる。

本研修ではコンブ養殖における最初期段階である種苗生産現場の見学とコンブ加工現場の見学を通して、今後の需要増加に向けた基礎となる種苗生産技術の発展及び加工現場の現状について学んだ。


実習内容

1. コンブ種苗生産現場

本実習では函館市南茅部にある南かやべ東部地区コンブ種苗生産施設を見学した。コンブの種苗生産はまず母藻と呼ばれる天然のコンブを採取するところから始まる。採取した母藻は鞭毛を持つ遊走子(胞子)放出を促すために新聞紙にくるまれて一度乾燥される。この過程をあん蒸と呼び、あん蒸された母藻は滅菌された海水に投入され、そのタイミングで母藻内の遊走子が滅菌海水に移動する。この海水を遊走子液と呼ぶ。遊走子液は遊走子が種苗糸と呼ばれるクレモナ糸でできた糸に着生することから、種苗糸が設置された水槽に移される。種苗糸に着生し遊走子は投与される培養液を栄養源として増殖し、写真のような種苗糸が見えなくなるまで覆いつくす。このようにして出来た種苗はある程度外海に慣らされ後、種苗糸ごと養成網に植えられて育成される。



2. コンブ加工現場見学

本実習では南茅部にある南かやべ漁業協同組合コンブ加工センターを見学した。このセンターでは道内のコンブの保管および加工が行われている。コンブは収穫後、品質向上のために最低1年間保存され、長いもので5年ほど保管されている。しかしコンブの特性上保存場所の条件は厳しく、湿度60%以下温度20℃以下でなければならない。やはり本センターの保存庫は乾燥しておりひんやりとしていた。長い保存期間が終わったコンブは裁断機によって任意の長さにカットされた後、人の手によって検品が成される。その際に極端に小さいコンブや薄いコンブは別ケースに移され、ダシ用コンブやさらに細かいもの(右図)は家畜のえさに活用されている。検品をクリアしたコンブは人の手により袋詰めされ、機械によって賞味期限の印字及び印字のチェックが成される。また、出荷されたコンブの品質を確認するため、出荷するコンブとは別に品質チェック用の袋詰めされたコンブの経時変化を確認している。




本研修での学び

本研修でのコンブの種苗生産、加工の現場見学を通して、コンブ養殖の技術的発展およびその背景にある研究成果が如何に大成されたものかを感じた。最も驚いた点として、種苗生産における母藻からの遊走子の抽出や遊走子の育成におけるプロトコールが非常に簡潔であったことが挙げられる。養殖における研究成果は学術的なため一般の養殖業者には理解しがたいものであるにもかかわらず、コンブ養殖では上述したような単語さえ知っていればだれでも理解できるほど簡略化されていた。コンブだけでなく世界的に需要が高まりはじめた水産物において、養殖技術開発と簡略化は新技術の普及を通して今後の安定した供給に繋がってくると私は確信している。


마지막 수정됨: 화요일, 5 11월 2024, 1:07 PM