「コンブの加工工場視察の現状と課題」「種苗生産の現場」

10月19日開催のCREEN 人材育成カリキュラムスポット参加「函館に行こう!学ぼう!」のプログラムで「コンブの加工工場視察の現状と課題」「種苗生産の現場」に参加しました。
函館市内でコンブ生産と加工について、実際に現場で働かれている職員の方々に詳しく教えていただき、養殖技術が産業に活かされている一例について勉強しました。

「コンブの加工工場視察の現状と課題」 南かやべ漁業協同組合 こんぶ加工センター

 南かやべ漁業協同組合 こんぶ加工センターで、昆布加工の現状や歴史、近年の昆布価格推移など具体的な昆布産業についての説明をお聞きしました。日本国内のコンブ生産量の9割が北海道であり、そのうちの3割を占める函館では主にコンブ養殖によって多くの水揚げを得ており、函館でとれるマコンブは「函館真昆布」としてブランド化し、幅広で肉厚、上品で澄んだ出汁が特徴であり、出汁、塩昆布、おぼろ・とろろ昆布、佃煮、バッテラなどの用途で使用されているそうです。
 コンブは加工で無駄になる部分がほとんどなく、加工の際に発生する粉末状になったコンブや、端の薄い部分もエキス等の用途がある生産性の高い資源でした。




「種苗生産の現場」 南かやべ西部地区こんぶ種苗生産施設

 南かやべ西部地区こんぶ種苗生産施設では、コンブ養殖で使われる種苗の生産を見学させていただきました。コンブ種苗は沖合の天然コンブのうち子嚢斑が出ているものを採取し、陰干しなどの過程を経て遊走子を放出、培養することで作られるそうです。
 コンブの養殖技術は元水産庁北海道区水産研究所長の長谷川由雄先生が地元漁業者と協力して完成させた技術であり、研究成果を現場で活かすという1例として成功しているもので感動しました。特に、遊走子放出までを実験室などの特殊な環境ではなく、現場で行うことができる方法の開発には感銘を受けました。




まとめ

 コンブは加工する際に無駄になる部分が非常に少なく、その用途も様々で日本の食文化なかで重要なものである点、完全養殖ではないが養殖技術が確立されおり、産業として環境負荷が少ない点、養殖で間引かれる部分にも資源価値がある点、研究成果を現場に活かして成功している事例など、多くのことを現場の声とともに学べました。
 環境への負荷を下げることが期待される養殖技術の研究は、環境意識が高まってきている今、より一層活発に行われていく分野であると思います。そうして完成した技術を現場に還元していく動きも同時に発展していくことに期待するとともに、私自身もそういった動きに関わっていきたいと思いました。

終わりに

今回、貴重なお話や施設見学をさせてくださった南かやべ漁業協同組合の皆様、このような学びの機会を与えていただきました本カリキュラムに関わられている皆様、研究の相談や意見交換をしてくださった長崎大学と北海道大学の修士学生の先輩方に深く感謝します。

Terakhir diubah: Senin, 28 Oktober 2024, 11:01