実施した内容(実習から学生交流まで)

9月9日に北海道立工業技術センターにて行われた北海道大学「CREEN人材育成プログラム」に参加した。北海道立工業技術センターは産業支援機関と試験研究機関を一元化した組織であり、産学連携のコーディネートをはじめ、幅広い分野に対応している。本講義では、同センターで行われている商品開発や事業内容などの事例紹介を通して産官学連携の重要性について学んだ。

写真1 北海道立工業技術センター


1.実習内容

1-1.青森県におけるサーモン大規模養殖事業

本事例紹介では、青森県のサーモン養殖事業について学んだ。近年世界における日本食ブームに伴うサーモンの消費量の増加に注目した青森県では、アジア圏のサーモン養殖の拠点を目指して産学官連携でのサーモンの養殖事業を始めた。天候に左右されない自動給餌や中間育成魚を安定的に育てるための水槽の工夫などの養殖技術だけでなく、大学生協と連携した商品の発売やスシローなどの大手企業への出荷などの流通網の開発など、産官学連携のもと推進し、講義内でもあったが現在では“ご当地サーモン”から“産業”へと発展しつつあるように感じた。養殖技術だけではなく、産業として発展するまでを一貫して推進している本事業は、産官学連携の好例として非常に興味深いと感じた。

1-2.食品・製品開発

本事例紹介では同センターの企業だけではなく大学や行政からの依頼をうけ、商品開発や商品化につなげる活動について学んだ。HACCPを中心とした商品開発や“ヘルシーDo”(北海道食品機能性表示制度)の認定商品の開発など地域に根差した取り組みや、市場を海外に広げ、秋に収穫したカボチャを付加価値の高い冬に香港に輸出し、利益が高くなるような取り組みも行っている。同センターの新たな側面を学び知ることができ良かった。

1-3.乾燥技術

本事例紹介では、同センターの食品乾燥技術やその技術を通した企業との共同開発などの活動について学んだ。評価用試験乾燥装置のような他の企業にはないような装置もあり、乾燥技術の向上にとても役に立っている。例えば、この技術によって北海道産の鮭を食材とした“鮭とば”の乾燥に要する時間を10~15%短縮することによる生産効率の向上や、昆布の熟成風味加工(風味向上加工)もこれらの技術を活用して開発された。実際に熟成加工されていない昆布だしと熟成加工された昆布だしの飲み比べを行ったが、加工されていない昆布だしは昆布のえぐみが強いのに対し、加工された昆布だしは昆布の味がはっきりとしているがすっきりした味わいであった。同センターで開発された技術の中には無料で公開している技術や同センターと企業が合同開発した技術を企業側が無料で公開している技術もあり、地域産業の活性化や競争力の強化のために貢献している姿は印象的であり、とても驚いた。

写真2 試食した昆布だし 写真3 鮭とば 写真4 乾燥させた様々な食品


2.考えたこと・考察

本カリキュラム参加を通し、産官学連携の重要性やその役割・効果を実感した。産官学連携の理由の根本にはその商品や技術の普及や活性化のためであるということ、さらに、産官学連携は一つの方向に開発を進めたり解決策を考えたりするのではなく、関連しているすべての団体が相互的・多角的・俯瞰的に問題を考えることが魅力である、ということに気が付いた。まだまだ、産官学連携について私自身が知らないこと、世の中に知られていないことが多いように思う。今後、日本の水産業をはじめとする様々な産業の活発化や発展につながるのではないだろうか。

最後に

このような学びの機会を与えていただいた北海道大学の先生方、事務局の皆様、様々な研究や施設見学をさせてくださった北海道立工業技術センターの皆様、交流や意見交換をしてくださった函館の学生の皆様に深く感謝します。

แก้ไขครั้งสุดท้าย: วันอังคาร, 24 กันยายน 2024, 9:25AM