長崎大学 水産学部1年 東浦みのり
今回初めてこのカリキュラムに参加させてもらいました。このカリキュラムに参加しようと思った理由は、私自身昆布についての知識が浅かったということとともに、食やその他の分野でも私たちの生活を支える昆布がどのようなところで採れていろいろな人のもとへ届いているのか興味があったためです。私は関西出身ということもあり、カツオと昆布の合わせだしが主流でしたし、昆布の佃煮や昆布巻きを食べる機会も頻繁にありました。そんな私たちの生活に欠かせない昆布について研修で学んだことや函館に実際行ってみて感じたことを書きたいと思います。
実施内容
株式会社丸善納谷商店取締役専務の納谷太郎さんに講師を務めていただきました。約1時間半にわたる講義では昆布の加工や日本だけでなく海外での流通について教えていただき、様々な昆布の試飲、加工食品の試食もさせてもらいました。
1.昆布の産地による品質の違い
本場折浜、白口浜、黒口浜でとれるマコンブからとれるだしの試飲をしました。どれもマコンブですがとれる場所が違うというだけで、味も香りも全く別物で驚きました。育つ環境が生き物に与える影響の大きさをひしひしと感じました。白口浜のマコンブが最高級品とされているそうですが本場折浜も黒口浜もそれぞれの良さがありました。特に黒口浜は香りも味も力強い印象がありました。
2.昆布の加工について
昆布の加工品の試食では都こんぶ(中野物産)、おぼろ昆布、とろろ昆布、昆布の佃煮、松前漬けを食べました。今回初めて食べたのがおぼろ昆布と松前漬けでした。食べる前までおぼろ昆布はとろろ昆布に似ていると思っていたのですが食べてみるとその食べ応えに驚きました。噛めば噛むほど味や粘りが出てきました。松前漬けは昆布とイカのうまみが合わさって相乗効果でとても旨味が強かったです。加工に向いている昆布は薄くて柔らかいもので、加工によく使われる早煮昆布という昆布の間引きででた昆布はかつて昆布漁師さんがもうからない春の時期、早煮昆布を加工用として売ることで漁師さんの生計を支えていたそうです。品種として加工に向いているのは日高昆布や長昆布だそうで、その二つに加え、利尻昆布、羅臼昆布からとっただしの試飲もさせてもらいました。すべて色も香りも味も違い、昆布の奥深さを感じました。
写真1 昆布の加工品 | 写真2 左から利尻、羅臼、日高昆布のだし |
昆布のおいしさや日本で育てた昆布の素晴らしさがヨーロッパでは通用しなかったことや、昆布だしの味を鼻水のようだと現地の人が表現したということをうかがって衝撃を受けた。品質が高い分、値段も高い日本の昆布は安い中国産の昆布には品質の良さを理解してもらえないとなると買ってもらえない。そこで注目されたのが海外でよく売っているオーガニックの海藻だったそうです。日本のコンブを有機栽培したら海外でも売れるのではないかとおもい、もともと日本にはなかった有機の規格を確立するところまでこぎつけたのが本当にすごいなと思いました。海外で流通させるには現地の状況や人々の様子をよく観察し、いろいろな人の話に耳を傾けることが大切だと感じました。
写真3 海外で実際に売っているオーガニックの海藻 |
4.学生間交流
研修後、学生四人でお寿司を食べに行きました。長崎では食べられないものばかりで、おいしいのはもちろんなのですが、食べていて楽しかったです。この時期はこの魚がおいしいなど魚の話も聞けて有意義な時間を過ごせました。
写真4 ニシンのお寿司 |
本研修での学び
今回の研究でなんと昆布は奥深く、興味深い存在なのだろうと思いました。また実際に函館を訪れてお魚のおいしさや人々の温かさも感じることができました。顆粒だしのメジャー化により昆布からだしをとることも減ってきていますが、化学成分を使わない有機昆布の栽培などいろいろな人たちの力によって今の昆布産業が支えられていることも学びました。海外で受け入れてもらう難しさも学びました。昆布に限らず本研修で学んだことは他の水産業について考える際にも参考になります。この学びを糧に今後の研究活動や学習にも生かしていきたいです。
最後に
最後に私に函館で学ぶ機会を与えてくださり、サポートしてくださった北海道大学の先生方、興味深いお話をしてくださった講師の納谷さん、学生の皆さん、本当にありがとうございました。