この度、共創の場×CREENカリキュラムのプログラムの一環としてコンブの加工・産地品質・生産流通に関する研修に参加した。今回トピックとして取り上げられたコンブは国内総生産量の95%を北海道内にて生産されており、北海道の水産業において非常に重要な水産物である。また、コンブは鎌倉時代あたりから日本料理において料理の具材やダシとして古くより重宝され、現在に至ってもなお日本国民に重要な食材として求められ続けている。最近では日本国内だけでなく、海外におけるコンブダシの人気が高まりつつあり、今後今まで以上の需要増加が期待されている。

以上のように、コンブの重要性認知及び、世界的需要増加が進む一方で、近年北海道沿岸域でのコンブの資源量が減少していることは軽視できない。実際に北海道内でのコンブ生産量は直近30年でおおよそ3分の1まで減少しており、今後においてもまたさらなるコンブ生産量の減少が見込まれる。

今回の研修では講義の受講を通して、現在のコンブ生産量減少の要因と現在行われている対処法や取り組み、またコンブの特性について学んだ上で、北海道内でのコンブ養殖業について考察することを目標とした。

実習内容

1. コンブに関する講義(株式会社丸善納谷商店)

本講義では北海道内にて漁獲、養殖されているコンブについて学んだ。上述したように、北海道産コンブは国内のコンブ生産における大半を占めており、日本の食文化を支える重要な海産物である。北海道でとれるコンブは多数存在し、道北の利尻で漁獲される利尻コンブや道東の羅臼地区で漁獲される羅臼コンブ、道南日高地区の日高コンブ、そして函館の函館コンブがよく知られている。本講義のなかで、それら各地方からとれたコンブのダシを試飲する機会があり、私は試飲を通してコンブの種類によって香りや甘さ、旨味に大きな差があることに気付いた。特に同じ函館産昆布でも細かい漁場の違いが味に影響していることは非常に興味深かった。コンブからとれるダシの味はコンブが育った海域の環境が非常に大きく影響しており、潮の流れや塩分濃度、DO、pHといった海域によって微妙に異なる環境要因が今回感じた様々な漁場から獲れたコンブダシの差を生み出している。また、これらコンブダシの差は全国のダシを用いる料理屋にて絶妙に使い分けられており、私が知らない料理人の工夫を感じた。


また、講義ではダシだけでなくコンブの加工品の試食もあり、おぼろコンブや松前漬け、加えて私が幼少期に好んで食した都コンブを試食した。コンブはダシ以外にコンブ自体も料理に使用されており、比較的厚みのあるコンブは試食した加工品やおでん、コンブ巻きといった私たちになじみの深い料理に使われている。


日本全国で消費されている北海道産昆布だが、近年北海道でのコンブ漁獲量が低下していることに目を向けることは必要である。コンブは魚のように遊泳し移動できるわけではない為、環境や捕食者といった外的要因には対応しづらく、影響を受けやすい。近年問題視されている海水温上昇やウニによる食害はコンブに影響を与える外的要因の1つであり、特にウニはコンブと生息地が被りがちであり、コンブは食害を受けやすい。北海道内でのコンブ漁獲量減少を鑑み、最近は函館にてコンブ養殖が盛んに行われている。養殖コンブは天然と異なり、海面付近のロープに吊るされるため海底に生息するウニ等による食害をほとんどすべて防ぐことができ、漁場の選択によりある程度飼育水温の調整が行える。

本研修での学び

コンブ養殖の発展は昨今の磯焼け問題や食害によって失われたブルーカーボンの再生につながる事は間違いなく、加えて我々日本人にとっての魂である昆布出汁を未来永劫にわたって生産し続けることができる。

私はコンブ養殖の今後の課題として、コンブをよりグローバルな食材に位置付ける必要性を挙げる。コンブはカロテノイド系色素を豊富に含んでおり、抗酸化作用や健康寿命延伸といった生理活性を高める働きがある。近年健康志向が上昇している欧州諸国にはコンブの歴史的背景や安全性、そして健康性を前面に押し出して販売することは効果的なのかもしれない。


Sửa lần cuối: Thứ Sáu, 13 tháng 9 2024, 10:59 AM