酸素濃度:密度躍層(750 m)と深層(3000 m) (←クリック)
一般的に酸素極小層がみられる水深750mと深層の水深3000mにおける、溶存酸素濃度の全球分布を以下の図に示します。
(上と下の図で、カラーバーのレンジが異なるのに注意してください)
(上と下の図で、カラーバーのレンジが異なるのに注意してください)
水深750mに着目すると、東大西洋中緯度域(アフリカ大陸大西洋沿岸)では、周囲の大西洋の平均的な酸素濃度に比べて低濃度です。この海域の水深750mでは明瞭な酸素極小層が現れています。これは、その場(北大西洋中緯度)の表層で生産された有機物が沈降して、密度躍層で酸素が消費されたことが原因と考えられます。
いっぽう、北西太平洋の日本列島南方(北緯30度付近)の亜熱帯域では、周囲の太平洋に比べて酸素濃度が高くなっています。(日本列島の近くの太平洋で薄黄色が付いた部分が東に広がっています。よく見て探してください) これは、その北側のエリア(東北沖の海域)で、表層の水が冬場の冷却により沈み込み、水深750 mを含む中層に広がっていることが理由と考えられます。中層水の沈み込みエリアに近いので、中層水で高い酸素濃度が維持されているのです。この中層水は亜熱帯全域に広がっていますが、沈み込みから長時間経過すれば、有機物分解により酸素濃度が低下してきます。そのため、北太平洋の亜熱帯全域の中層で酸素濃度が高まっているのではなく、日本列島近くに限られるのです。
深層水(3000m)に着目すると、酸素濃度は、高い方から順に、北大西洋→南大西洋→南太平洋→北太平洋に並んでおり、これは深層循環の流れ順と同じです。深層では、深層水中に含まれる溶存有機炭素が分解されて、酸素濃度が減り続けていることがわかります。
Last modified: Wednesday, 16 March 2022, 4:36 PM