海水のpHを計算します
海水のpHは8である、ということはご存じでしょうか。大気中二酸化炭素分圧(pCO2)と全炭酸(DIC)濃度を与えて、海水のpHを求めます。
以下に、DICの定義、二酸化炭素の溶解平衡、炭酸系成分と水の解離平衡の式を書き出しました。
【DIC】 = 【HCO3-】 + 【CO32-】 + 【H2CO3】 式(1)
K0 = 【H2CO3】/pCO2 式(2)
K1 = 【HCO3-】・【H+】/【H2CO3】 式(3)
K2 = 【CO32-】・【H+】/【HCO3-】 式(4)
Kw = 【H+】・【OH-】 式(5)
K0 = 10-1.489、K1 = 10-5.882、K2 = 10-9.035、Kw = 10-13.409 (温度20℃)
任意のpHで、DICに対する、各炭酸成分の割合を求める計算にて、以下式(6)~(8)を導出しました。
ここでは、式(7)を使います。
【HCO3-】= K1・【H+】・【DIC】/( 【H+】2 + K1【H+】+ K1K2 ) 式(6)
【H2CO3】= 【H+】2・【DIC】/( 【H+】2 + K1【H+】+ K1K2 ) 式(7)
【CO32-】= K1・K2・【DIC】/( 【H+】2 + K1【H+】+ K1K2 ) 式(8)
手順① 式(7)を、式(2)に代入してください。
これを、pCO2と【DIC】を含み、【H+】についての二次方程式の形に変形してください。
(つまり、A【H+】2 + B【H+】 + C = 0 に変形してください。左のA,B,Cは皆さんが求めてください)
手順② 上の【H+】についての二次方程式を、解の公式に従って、解いてください。
【H+】= ~~~
私(大木)は、解の公式を忘れてしまいがちなので、間違えないよう、記しておきます。
ax^2 + bx + c = 0, 解:x=( -b ± (b^2 -4ac )^0.5 ) / (2a)
手順③ 海水の【DIC】として、2.09×10-3 (mol/L)、大気のpCO2として 380×10-6 (atm) を、
【H+】= ~~~ の式に代入して、【H+】の値をもとめてください。
手計算では無理なので、エクセルにこの数式を作って(※)、計算させてください。
手順④ pH = -Log10【H+】 に代入して、海水のpHを求めてください。
pH = 8.06 が得られたでしょうか。
大気pCO2が倍増した760×10-6 (atm)
大気pCO2が半分だった190×10-6 (atm)
ときのpHも求めてください。
※エクセルのセルに、「=」を入力して、各セルを引数として、計算式を作ることができます。
エクセル関数の、=Log(引数) をセルに打ち込めば、引数の常用対数を計算してくれます。
ちなみに、=Ln(引数)では、eを底とした対数を計算します。エクセル計算に慣れてください。
最終更新日時: 2020年 06月 26日(金曜日) 08:08