解離平衡の問題を扱うときは、「質量作用の法則」にしたがいます。つまり、平衡定数を、反応式の原形と生成形の濃度積の比率で表します。

 解離平衡の反応式の記述では、左辺に解離するまえの物質をおき、右辺に解離したあとの物質をおきます。

【H2CO3】↔【HCO3-】+【H+ (a)

【HCO3-】↔【CO32-】+【H+ (b)

 化学反応の式において、左辺を原形、右辺を生成形といいます。


 解離平衡の平衡定数(K)は、生成形の濃度積(活量積)と原形の濃度積(活量積)の比に等しいです。(分子が生成形、分母が原形)

K = (生成形の濃度積)/(原形の濃度積)


 これを質量作用の法則とよびます。


 生成形の濃度積とは、生成形にある物質の濃度の積です。生成形が【HCO3-】+【H+】であれば、【HCO3-】×【H+】 となります。

(本コースにはありませんが、仮に、生成形が 【Ca2+】+2【Cl-】であれば、【Ca2+】×【Cl-2 です)


炭酸系成分の解離平衡について質量作用の式を記します。

(a) → K1 = 【HCO3-】・【H+】/【H2CO3

(b) → K2 = 【CO32-】・【H+】/【HCO3-


解離平衡の問題で【H+】がでてきたら、水の解離平衡の式を書き出すか、溶液pHが指定されているなら【H+】を定めます。

H2O ↔【OH-】+【H+

Kw = 【OH-】・【H+

(純水の場合、水の解離平衡定数:Kw = 10-14

(Kw = 10-14  は、【OH-】×【H+】/【H2O 】 として、分母の【H2O 】=1 とおいたときの値です。水1Lのモル数を分母として水の解離平衡定数を表示することもあるので、独学するときは注意してください)


 上3つの式では、未知パラメタ(【CO32-】や【H+】、【HCO3-】)の数に対して、質量作用則の式のほうが少ないです。これを解くには、ある近似や条件(濃度を与えるなど)を設定します。電荷保存則や質量保存則を用いることがあります。それぞれのケースで慣れるしかないので、例題を解いて慣れてゆきましょう。



最終更新日時: 2020年 05月 22日(金曜日) 08:34