海水中での炭酸成分の解離平衡

 海水に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)になります。炭酸は、炭酸水素イオン(HCO3-)と炭酸イオン(CO32-)の2段階に解離します。これらを合わせた炭酸系物質のことを、全炭酸(Dissolved Inorganic Carbonate: DIC)といいます。全炭酸(DIC)の濃度は式(1)で表されます。

【DIC】 = 【HCO3-】 + 【CO32-】 + 【H2CO3 式(1)


炭酸系成分と水の解離平衡の反応式を以下図の中に書き出しました。



 海水に対する炭酸の溶解平衡(式2)、炭酸成分と水の解離平衡(質量作用の法則)の式(3)~(5)を以下に書き出しました。

K0 = 【H2CO3】/pCO2            式(2)

K1 = 【HCO3-】・【H+】/【H2CO3 式(3)

K2 = 【CO32-】・【H+】/【HCO3- 式(4)

Kw = 【H+】・【OH-   式(5)

 K0~Kwは平衡定数です。海水に対する各平衡定数を求める経験式が報告されています。ここでは、温度20℃の値を示します。

 K0 = 10-1.489、K1 = 10-5.882、K2 = 10-9.035、Kw = 10-13.409

K0 はCO2の溶解度(mol/L/atm)、pCO2は大気中のCO2分圧(約380×10-6 atm)、【各成分】は各成分の濃度(mol/L)です。


注1) 上の図のCO2(gas) と CO2(aq)は、それぞれ、気相中と液相中のCO2を表します。溶解平衡の反応式は、本来、CO2(gas) ⇔ CO2(aq) ですが、CO2(aq)は即座にH2CO3へ変わります。したがって、CO2(gas) ⇔H2CO3 を溶解平衡の式とします。CO2(gas)の大気中濃度は、分圧(partial pressure;単位 atm)で表されるので、pCO2 (atm) としています。

注2) 化学平衡の計算では、モル濃度(mol/L)ではなく活量を使うのが正しいですが、本コースでは混乱を避けるため、モル濃度で説明をします。




Last modified: Friday, 22 May 2020, 8:21 AM