日本に発送を行うプランクトンサンプルの準備を行った。プランクトンネットで採集したプランクトンはボトルに入れられて保管されているが,ホルマリンを用いて固定を行っており,また,船便で日本に送るため輸送には長時間を要するため,厳重に梱包を行う必要がある。ボトルの中ブタが閉まっているかを確認した後に,ボトルのふたを閉めて,ビニールテープで密閉する作業を行った。密閉したボトルはコンテナに並べた後に遮光袋に入れ,段ボール箱に入れて,発送のための梱包が終了した。

 午後,Sさんの家にお邪魔してイッカクのスープを頂いた。皮付近のくにょくにょとした部分と,赤身のイッカク肉が入っていた。味付けはかなり辛めでスパイシーだった。スープの汁はさらさらとしているが,イッカクの血の色で茶色になっていた。私は個人的にレバーや塩辛など生臭い食べ物があまり得意ではなく,このスープも初めはほのかな血と動物らしい香りを感じたが,味付けがスパイシーであっただけにおいしく,二杯いただいた。同行した田中や櫻井は何杯も食べ,ライスをもらい,イッカク丼を作って食べていた。

 夕方,海岸へ行き固着性二枚貝(イガイの仲間?)を採集した。ダンプサイト(カナック近郊のゴミ捨て場)周辺では重金属などの海洋汚染物質が問題となっており,濾過摂食を行う固着性二枚貝にはそのような物質が濃縮されている可能性が示唆されている。そのためカナックの港周辺からダンプサイト直下の海岸まで,広い範囲で固着性二枚貝の採集を行った。

 カナックの港からダンプサイトまで,海岸沿いは犬をつないでおく場所になっており,海岸を歩いているとたくさんの犬に吠えられた。中にはリードが切れていて,歩いている我々に近づいてくる犬もいた。しかし,犬はそりを引くために人間に調教されているためか我々にかみついたりしてくることはなかった。

 海岸を歩いていると様々な動物の骨を見ることができた。カナックの集落に近い場所ではイッカクの下あごや長い腸,アザラシの皮など,人間が捨てた様々な生き物の残骸が転がっていた。そのほか,銃弾の空薬莢など日本では到底見られないようなものもたくさん落ちていた。

 この日の夕食は,ホッキョクイワナを使ったクリームパスタとハーブ焼きであった。ホッキョクイワナは脂がのっていてとてもおいしかった。

    


最後修改: 2025年 05月 15日(週四) 11:04