大気上層ではほぼ一定速度で14Cが生成されて、それが決まった速度でβ崩壊します。12Cは安定だから、大気中の14C / 12C比率は一定で、およそ1兆分の1(1.2×10-12)の比率で14Cが存在します。大気上層の14C供給から隔離されて5730年経過すれば、14C / 12C比率は、当初の半分(0.6×10-12)、さらに5730年経過すればさらに半分(0.3×10-12)になります。環境試料中の14C/12C比率を調べれば、それが大気中CO2の取り込みを停止してからの年数(14C年齢)を推定することができます。





 大気中CO2の14C / 12C比率をR0として初期値として、それに対する減衰係数をa(<1)とします。ある環境試料中の14C / 12C比率(a×R0)を測定して、上図のように、aが分かれば、14C年齢(大気からの14C供給が無くなってからの時間)を求めることができます。

 ある環境試料中の14C / 12C比率(a×R0)がa=0.8となれば、それは大気からのCO2取り込みが停止してから、1846年経過したものと推定されます。同様に、a = 0.05であれば、24789年経過したものと推定されます。

 現在、加速器質量分析計で14C / 12C比率が測定されます。その測定限界は、a = 0.005程度なので、推定できる年代は5万年くらい前までです。また、1950年代には、大気中核実験により、人為的に大量の14Cが放出されたので、現在の14C / 12C比率は大きく乱されてしままっています。したがって、R0の値は、核実験が行われる1950年直前の値が使われています。さらに、植物が二酸化炭素を有機炭素に固定する際、12Cと14Cの取り込み効率が若干異なったり、大気-海洋間の二酸化炭素交換でも効率が若干異なります(同位体分別効果)。大気上層での14C生成速度も、時代によって若干異なることが考えられています。これら同位体分別効果や14C生成速度の変化を補正して、年代推定が行われます。





Última modificación: viernes, 29 de mayo de 2020, 12:04