宇宙には、超新星爆発などで、高エネルギーの宇宙線が飛びかっています。その宇宙線が大気上層で空気分子あたると、原子核が壊れて中性子が飛び出ます。その中性子が窒素原子にあたり、原子核中の陽子とおきかわると14Cになります。放射性14Cの中性子は、いずれβ崩壊(電子を放出)して陽子になり、14Nに戻ります。

14Cの生成



14Cがβ崩壊する確率は、未来永劫、宇宙何処でも一緒です。1個の14Cが単位時間(1秒)のうちに放射壊変する確率を、上図中でβ壊変の速度定数κ(= 3.83×10-12 (1/s))として記しました。仮に、14C原子が2.61×1011個存在したら、1秒後にはκ×2.61×1011個だけβ崩壊してなくなります(その分14N原子になる)。これを計算すると、14C原子2.61×1011個のうち、ちょうど1秒後に1個の14C原子が放射壊変して消滅します(その分14Nができる)。元の半分の個数になるまでの時間を放射壊変による“半減期”といいます。14Cの場合、それが5730年です。

14Cのβ崩壊



これを数式化します。海洋化学の基礎を学んでいると、微分積分の基礎も忘れてしまうので、以下、復習しましょう。

 ある時刻tにおける14C原子の個数を[14C]tとおきます。その後、1秒間にβ崩壊して消滅する個数がκ×[14C]tです。1秒後の個数[14C]t+1は、はじめの個数[14C]t から、消滅個数 κ×[14C]t  を差し引いた値です。数式にすると、[14C]t+1 =[14C]t -κ×[14C]t  です。

 これを変形すれば、[14C]t+1 -[14C]t  = -κ×[14C]t  になります。左辺は、1秒後の個数変化です。左辺に分母の1 (s)があると思えば、1秒当たりの個数変化([14C]t+1-[14C]t)/1(s) が-κ×[14C]tに等しいことを意味します。つまり、([14C]t+1-[14C]t)/1(s)  =-κ×[14C]t です。

 つぎは、1(s)あたりではなく、微小時間Δ(s)あたりの個数変化ににすれば、[14C]t+1-[14C]t)/Δ(s)  =-κ×[14C]t になります。

 微小時間⊿を無限小にすれば、微分形式d[14C]t / dt = -κ×[14C]tで表すことができます。この微分方程式を解いたものが、下図の結果です。(この微分方程式の解の公式は、各自復習してスラスラ書けるようにしてください)

β壊変の数式化



 初期時刻(t = 0)における個数[14C]0の半分(0.5[14C]0)になる時間Tが半減期だから、下図のように、14Cの半減期は5730年と計算されます。

注意 14C年代推定においては、14Cの半減期を5568年として計算します。14Cが天然に存在することを発見したW.F.Libby(1960年ノーベル賞受賞)が用いた半減期(5,568年)を使う取り決めがあります。

β壊変による半減期



Última modificación: lunes, 16 de mayo de 2022, 15:56