「沈降と浮遊を分ける速度」は、どれくらいの時間スケールの自然現象を考えるのか? によって決まります。

 空から降ってくる鉱物粒子は、1 m/day で沈降するから、個々の鉱物粒子で沈降する場合、海底に到達するまで5000日もかかる。と説明をしました。実際には、1か月ほどで到達するそうですが、個々の鉱物粒子が1 m/dayで沈降する場合でも、「十分な沈降速度を持つ」と判断できるケースがあります。

 外洋の海洋堆積物では、千年で1ミリ、百万年で千ミリ(1 m)、1億年で百メートル積もります。1億年かけて海底に堆積する鉱物粒子の沈降速度を考えれば、1 m/d で5000日かかったとしても、「十分な沈降速度を持つ」とハッキリ言えます。

 いっぽう、フワフワした有機物粒子が1 m/dで沈降する場合はどうでしょうか。その粒子が、微生物により10日で分解消滅するとしたら、鉛直的な物質輸送を考える上では、「十分な沈降速度を持たず、浮遊中に消滅した」と表現されるでしょう。


 「十分な沈降速度を持つ」と「十分な沈降速度を持たない」と、何かしらの根拠を示して記述するのが大事ですね。



最終更新日時: 2020年 05月 27日(水曜日) 15:54