海洋学を含め、水環境科学の分野では、水中の物質を「溶存態」と「粒子態」に区別します。それは、孔径0.2 μmから1.0 μmのフィルターで水をろ過して、フィルターを通過した水に含まれる物質を「溶存態」、フィルター上に捕捉された物質を「粒子態」と定義します。



--------------粒子態と溶存態の定義---------------------------------

海水を孔径0.2 μmから1.0 μmのフィルターろ過

フィルター上に補足された物質を「粒子態」

フィルターを通過した物質を「溶存態」

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 したがって、水中に分散しているコロイド粒子や高分子有機物粒子でも、0.2 μmのフィルターを通過すれば溶存態に区分されます。 (物理工学分野では、水中に固体として分散しているコロイド粒子は「粒子」と定義されます)


 なぜ、海洋学では、0.2~1 μmの穴通過の有無で溶存態と粒子態を区切ってしまうのでしょうか。これには、自然水を処理する手間の問題があります。仮に、数百mLの海水試料を0.01μmのフィルターで濾過しようものなら、何十時間もかかってしまい大変すぎます。海水には、コロイド粒子のような超微粒子が数多く含まれていて、すぐにフィルターの目詰まりを起こすのです。フィルターの孔径を0.2μmまで大きくしてやれば、ろ過に要する時間は数分で済むでしょう。つまり、実験の都合上で、0.2μm以上(もしくは1.0 μm以上)の物質を粒子態、0.2 μm以下(もしくは1.0 μm以下)の物質を溶存態と定義することにしました。

 また、0.2 μm や 1.0 μmで区切ってやると、概ね、ほとんどの生物が粒子態に区分されるので、都合が良いのです。ただし、溶存態画分にも一部の極小バクテリアとウィルスが含まれますが、非生物体の方が量的には多く、一般的に溶存態画分の有機物の99%以上は非生物体有機物です。

Diperbaharui kali terakhir: Khamis, 13 Julai 2023, 9:47 AM