日本列島近くの親潮-黒潮移行領域(三陸沖)の表層から中層における水塊区分の目安を下に示します。



(Hanawa and Mitsudera, Journal of the Oceanographical Society of Japan, 42, 435-446, 1987)


 低温、高塩分ほど高密度だから、右下方向に向かうほど水深が深くなります。この図では、密度26.7σより低密度(左上側にプロット)の水が、表層の水を表しています※。

KW:高塩分の亜熱帯系の黒潮水(塩分34.2以上)

TW:黒潮が日本海へ分岐して河川水の影響を受け少し低塩分化した津軽暖流水(塩分33.7~34.2)

OW:低塩分の親潮水(塩分33.7未満)

s-OW:OWが暖められた夏季親潮表層水(塩分33.7未満、水温7℃以上)
(亜寒帯に起源を持つ低温の親潮水(OW)といえでも、夏場に日射で暖められれば、低塩分を保ったまま昇温してs-OWになる)

CL:密度26.7σ以上の水は、表層より深いところの中深層(CL)の水

 太平洋の深層水は北大西洋高緯度域で沈み込んだものなので、深いところでは、場所によらず同じCLのT-S範囲に収束します。

 なお、この区分は、あくまで三陸沖の水塊変化を見るためのものです。津軽海峡を抜け水が三陸沖に流れることがあるからTWが定義されています。北西太平洋でも、津軽暖流水が流れ込まない場所ではTWは定義し得ません。そのような場所では、塩分34以上を黒潮水、34未満を親潮水とします。


※密度26.7σは、およそ表層と中深層の境目です。亜寒帯では水深200mくらい、亜熱帯では水深700mくらいに相当する。亜熱帯のほうが分厚い表層をなしている。あとで説明する「表層」と「サブダクション」の章で学んでください。なお、表層混合層と表層は意味が違うことにも注意してください。


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北西太平洋の塩分水温分布(まとめ)

表層塩分
亜寒帯表層(親潮水):塩分34‰未満
亜熱帯表層(黒潮水):塩分34‰以上
黒潮系の津軽暖流水は、日本海で若干低塩分化して、塩分33.7~34.2‰

表層の海水密度は、およそ26.7σ未満
亜寒帯表層26.7σ未満:0~200 m
亜熱帯表層26.7σ未満:0~700 m
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แก้ไขครั้งสุดท้าย: วันอาทิตย์, 24 กันยายน 2023, 2:01PM