近年では,北海道大学低温科学研究所とオーストラリアのタスマニア大学が実施している国際南極大学という教育プログラムにおいて,日本とオーストラリアの学生が,サロマ湖で海氷について学んでいる。このように,北極や南極での観測のための教育の場としても役立てられている。また,現在,海氷物質循環研究に関する方法論の確立をテーマとした世界的な取り組み(詳細は22項)が進められており,その実験のためのフィールドとしてもサロマ湖が利用されている。
サロマ湖の東部は常呂町(ところちょう)である。ご存知のとおり,常呂町はカーリングのメッカである。多くのオリンピック選手を輩出している。海氷観測の時期はカーリングのシーズンとちょうど重なるので,私たちがいつも利用している常呂少年自然の家ネイパルは,大にぎわいである。ネイパルは,観測機材の準備したり,採取したサンプルの処理をするためのスペースが豊富にあり,宿泊料が安く,そして何と言ってもサロマ湖まで歩いて30 秒という非常に恵まれた環境にあるため,絶好のベースキャンプである。また,冬は牡蠣の旬であり,近くの商店で大量に買い込み,夜な夜な蒸して食べることも楽しみの一つとなっている。
世界的に見ても,これほどアクセスが良く(南極や北極と比べて),宿泊も安価で,いろいろ楽しい海氷域はない。そのため,サロマ湖には日本だけでなく世界から多くの研究者が集う。まさに海氷研究のメッカ,みんな大好きサロマ湖! なのである。