トピックアウトライン
概要
世界182の国と地域が加盟して家畜等の安全・安心確保を目指す国際機関「国際獣疫事務局(World Organization for Animal Health: OIE)」では,世界最先端の研究組織や専門家をコラボレーティングセンターやリファレンスラボラトリー専門家に認定し,最新の研究成果を新たな動物感染症診断法開発やワクチンの国際標準化等に活用している。また各疾病の専門家チームが各種疾病に対する診断法をまとめたマニュアルを策定し,各国の防疫・診断業務の標準化を行っている。
北海道大学では,鳥インフルエンザ (人獣共通感染症リサーチセンター) とサケ科魚ヘルペスウイルス病 (水産科学研究院安全科学教育室) のリファレンスラボラトリーが活動している。
魚病撲滅への貢献
診断・防除法の研究開発
国際獣疫事務局 (OIE) の Reference Laboratory for OMVD (Oncorhynchus masou virus disease) として,本病の封じ込みを果し,地球上からの撲滅をめざす研究に機能
・ ニジマスの OMV 新興感染症対策 (Yoshimizu et al., 2017)
・ OMVD ワクチンの開発 (降幡, 2008 学位論文)
・ 抗体検査による既往症把握法の開発 (Kim et al., 2008)
・ インターフェロン誘導剤を用いる新規免疫法の開発 (Kim et al., 2009)
診断技術の維持
OIEリファレンスラボラトリーは,担当疾病の診断技術に高い正確性が求められる
→試験を実施する研究室の技術能力を証明するため,ISO/IEC17025を取得する義務
新設の感染魚飼育室
飼育排水の殺菌設備が完備された感染魚飼育室が整備されたことにより,これまでは不可能だった持続的養殖生産確保法に定められている特定疾病の研究が可能となる
→未侵入疾病の防疫に関する研究に精力的に取り組むことができ,日本の魚病対策に大きく貢献