自分スケールの例(歩幅):
分析化学でいう信号強度は、歩数に相当します。信頼できる距離情報(標準試料による認証値)があり、その距離を歩数計測するのが、標準試料測定に相当します。未知試料の歩数を計測して、その結果から距離に換算(定量)します。
認証された距離の情報は、グーグルマップから距離を読み取ったり、陸上グラウンド、自動車メーター、巻き尺、などを使えばよいです。歩数計測は、暗唱して数えるか、スマホの万歩計機能を使えばよいです。標準試料とすべく距離の認証値の誤差、スマホによる歩数計測の誤差も考慮すべきかもしれません。同じ日に標準測定を繰り返せば、その日の経験(記憶)により誤差は小さくなるでしょう。数日間にわたって標準試料を繰り返し測定したほうが、より現実に即した精度評価になります。同じ様なことは、分析化学でも当てはまるのです。
できるだけ小さな信号強度(少ない歩数)で定量するならば、ブランク測定の評価が欠かせません。歩き始めがいい加減だと、定量下限は大きくなるはずです。感度の向上は図れないでしょうか?
定量上限は存在するでしょうか? 測定装置(人間)が、無限に歩き続けるならば、定量上限は存在しないかもしれません。様々な測定環境と要する精度を想定すれば、定量上限や定量下限の評価が意味をなしてきます。例えば、雪山の稜線の距離を自分スケールで計測する場合には、計測者の命が定量上限を律速する条件になるでしょう。つまり、日没までの時間の制約と疲れによる定量上限です。
分析化学でいう“マトリックス効果”も考慮しなくてはなりません。理想的な条件(整備された運動場)で標準歩幅を計測するのと、夾雑物を含んだ凍結路面の未知試料を計測するのでは条件が違いすぎるのです。
ある測定環境(条件)を想定して、自分スケールによる測定の評価をしてください。
水産学部海洋生物科学科開講(2年次)でレポート課題に出したら、ユニークな自分スケールを報告してくれました。ユニークかつ科学的がいいですね。