水素(H2)と酸素(O2)から水分子(H2O)が生まれる反応を考えます。
この反応が、H2 + O2 → H2Oの向きに自然に進むことは、皆さんご存じでしょう。このことを先の式に従って、確かめます。
例題: 水分子から自然に水素と酸素分子が解離するか、水素と酸素分子から自然に水分子が生成されるか、計算により求めてください。ただし、H2分圧を0.1 (atm)、O2分圧を0.2 (atm)とします。液体のH2Oが生成される場合、H2Oの活量は1となります。
(これまでは溶液反応でモル濃度を式に代入していました。気相反応では分圧を代入してください)
【原形】 【生成形】
2H2O (液体) ⇆ 2H2 + O2
Gf0 -229 (kJ/mol) 0 (kJ/mol) 0 (kJ/mol)
原形と生成形の合計ギブズエネルギーの差は、以下のように表されます。
⊿∑ΣG生成形-原形
= ΣGf生成形 + RT・ln【生成形の活量積】- ΣGf原形 + RT・ln【原形の活量積】
= ⊿∑Gf0 + RT・ln(【生成形の活量積】/【原形の活量積】)
= ( 0 + 0 ) - (-2×229×1000) + RT・ln (【0.1×0.1×0.2】/1)
※H2は二個生成しているから、0.1×0,1
※気相中に存在する液体の活量は1とする。
手計算できるように、R = 8, T =300, ln(0.002) = -6として計算すると、
⊿ΣG生成形-原形 = 2×229000-14400 = 443600
⊿ΣG生成形-原形 > 0 だから、
上の反応は、【生成形】から【原形】に自然に進む。
(ただし、活性化エネルギーの山を越える必要があるので、着火しなければ水素の燃焼反応は進みます)