生物の呼吸に関する半反応式をまとめました。
①有機物酸化 CO2 + 4H+ + 4e- = CH2O
+ H2O
②酸素呼吸: O2
+ 4H+ + 4e- = 2H2O
③硝酸呼吸: 4NO3-
+ 24H+ + 20e- = 2N2
+ 12 H2O
(硝酸呼吸により直接N2が発生することはないので、この呼吸反応は無い)
NO3-
+ 2H+ + 2e- = NO2-
+ H2O
(硝酸呼吸では、まず亜硝酸が生ずる)
④硫酸呼吸: SO42- + 10H+
+ 8e- = H2S + 4H2O
⑤メタン発酵: CO2
+ 8H+ + 8e- = CH4
+ 2H2O
半反応だけでは、電子が宙ぶらりんな状態なので、個別の半反応だけでは、どちらの方向に反応が進むか決められません。そのため、左辺(原形)と右辺(生成形)をイコール(=)で結んで、電子が左辺にあるよう配置します。
半反応式を一般化した記載方法:
左辺にある物質を酸化体(電子を受け取る物質)といいOxと略します。右辺にある物質を還元体(電子を与える物質)といい、Redと略します。半反応式を一般化して、以下に記します。
Ox
+ e- = Red
半反応一つだけでは酸化還元反応は成り立ちません。半反応式にある、Oxが電子をもらってRedになります。決して、半反応式にあるRedの電子がOxに渡されるのではありません。
別の半反応と電子のやりとりがあって、酸化還元反応が起こるのです。例えば、①と④の半反応が組むと硫酸呼吸の酸化還元反応が進みます。つまり、①反応の方向は右→左、④反応の方向は左→右と決まります。②と④が組めば、②の方向は左→右、④の方向は右→左と決まります。
ただし、光合成では逆の反応が進むように、周囲の環境(酸化還元電位や物質の濃度)によっては、上で説明した方向とは逆に反応が進むこともあり得ます。