토픽 개요
生物の呼吸反応で獲得できるエネルギー
ここで、“化学反応前後における標準生成ギブズエネルギーの合計差”を計算してもらいます。長々しい言葉がでてきて、またまたメンドクサイ感100% upです。例題を解いて慣れてしまいましょう。
まず、生物代謝で身近な化合物の二酸化炭素(CO2)の標準生成ギブズエネルギーを考えます。CO2を構成する元素は炭素(C)と酸素(O)です。それぞれの元素が単体で安定する状態は、炭素の単体(C)と酸素分子(O2)です。CとO2から1モルのCO2を生成するのに要するギブズエネルギーがCO2(気体)の標準生成ギブズエネルギーで-394.4 (kJ/mol)です。これは実験値として報告されたもので、化学便覧などに掲載されています。
(なぜマイナス符号がつくのか? CとO2を結合させると(黒炭を燃やすと)熱が発生するように、その系(CO2生成反応)からみると、エネルギーを失う方向だから)
生物は、酸素を使って有機物を酸化しエネルギーを得ています(呼吸)。下の図に、有機物として一番単純なホルムアルデヒドを仮定し、呼吸による有機物酸化の反応を記しました。各物質の下にそれぞれの物質の標準生成ギブズエネルギーを記しました。化学反応の生成形(右辺)の合計エネルギーから、原形(左辺)の合計エネルギーを差し引いた値(⊿∑Gf0)が、生物が獲得できるエネルギーです。エネルギー差にマイナスがついている理由は、反応系からみるとエネルギーを失っていて、その分、生物が獲得できるからです。
※ 標準状態にあるO2の標準生成ギブズエネルギーは0 (kJ/mol)ですが、それを水中に溶かすとエネルギー(16.3 kJ/mol)が生ずる。水中での呼吸を想定して、上のようにO2(aq)を使って計算しました。また、水中の生物が、二酸化炭素をCO2(aq)として取り込むのか、もしくはH2CO3やHCO3-なのかで計算に使うエネルギーが変ってきます。本コースではその辺は適当に扱ってしまっています。ご容赦ください。
この例のように、反応式の下に、各物質の標準生成ギブズエネルギーを記し、反応前後(左辺:原形、右辺:生成形)における合計差(⊿∑Gf0)を計算しています。各物質の標準生成ギブズエネルギー(Gf0)は、大事な熱力学定数なので、下の表にまとめました。。
本コースで学ぶように使ってください。研究で使うときは、引用の元文献で値を再確認してください。
次に、酸素がないところでは、硝酸を酸化剤にして呼吸をする生物が現れます。硝酸還元菌として知られています。
酸素呼吸よりも、硝酸呼吸の方が得られるエネルギーが若干少ないように見えますが、実際には、硝酸還元は2段階で起こっています。硝酸還元バクテリアがNO3-呼吸をしてNO2-を吐きだし、次に亜硝酸還元バクテリアがNO2-呼吸をしてN2を吐き出しています。2段階に分ければ、酸素呼吸よりもだいぶ効率が悪くなるのです。
酸素も硝酸もほとんどなくて、酸化マンガン(MnO2)と有機物は沢山あるような環境を想定します。酸化マンガン鉱物が露出したところに水が溜まって、有機物が蓄積したような環境でしょうか。こんな特異的な呼吸形式をもつ生物(原核生物)もいるそうです。水酸化鉄を酸化剤として呼吸する生物もいます。
獲得できるエネルギーも、110 kJとだいぶ少なくなりました。
酸素はもちろん、硝酸までなくなり、酸化マンガンや水酸化鉄などの酸化鉱物もなければ、硫酸を酸化剤とする生物が顔をだしてきます。
水環境中の溶存硫黄化合物の中で、構成元素(SやO)から合成するのにエネルギーを最も要するのが硫酸です。そんな安定な化合物から酸素を引き剥がすには大きなエネルギーが必要で、有機物から得られるエネルギーをそれに使ってしまいます。その分、生物が得られるエネルギーが減ってしまい、相当効率が悪いのです。そんな厳しい状況だからこそ、ここぞとばかりに、硫酸を還元する特殊能力を有するバクテリアが優占します。
さて、硫酸還元がおこると、反応生成物として硫化水素(H2S)が発生します。ドブ川で腐ったような(よく、卵の腐った臭いと表現される)臭い正体が硫化水素です。多量の有機物が長期間堆積するような場所で硫酸還元が起こるのです。ただし、その元となる硫酸イオンが無くてはなりません。
※堆積物の化学については、「海洋化学」(担当大木)の堆積物の化学のコースで説明しています。