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海洋の堆積物の化学(はじめに)
海底に堆積する粒子
海洋表層で生産された有機物、空から降ってきた鉱物粒子、河川から流入した有機物や鉱物粒子、これらは海水中を沈降し、途中で分解を免れたものだけが海底に堆積します。
太平洋のど真ん中、水深5000mの海底に堆積する粒子のほとんどが空から降ってきた鉱物粒子であり、少ないでしょうが、分解しきれなかった有機物粒子や生物起源オパール粒子もあります。海洋科学の教科書によると(杉村, 1970[1])、太平洋の外洋域では年間の堆積速度は千年で1mmにも満たないそうです。生物生産性の活発なベーリング海盆域であれば千年で300mmにも達します。堆積速度が大きな海域でも、1年あたりにすると、たった0.3mmです。本当なの?
ここで注意したいのは、これら堆積速度の見積もりは、数メートルの長さの海洋堆積物コア(円柱状試料)を採取し、各深度の堆積層が何百万年前に堆積したのかを調べ、ある厚さの堆積物が何年かけて海底下へ埋没していったのかを求めたことです。海底面に到達した有機物粒子が沢山あったとしても、そのほとんどが数カ月~数年間のうちに堆積物表層で分解してしまえば、上記の堆積速度には加算されません。海底面にセジメントトラップを設置して1年後に回収すれば、フワフワした有機物が数ミリは堆積していることが捉えられるでしょう。長い年月を経ると、堆積物表層の有機物のほとんどが分解し、結果、千年で<1~300mmという極めて遅い堆積速度になるのです。
海洋の堆積物年代推定法
有機物のコースでは、海水中炭素(炭酸成分や有機炭素)の放射性炭素同位体14Cを使って年代を推定する方法を説明しました。14C年代推定法では、せいぜい数万年前までしか遡れません。数万年から数百万年前まで遡るには、他の放射性核種を利用する必要があります。
海水中には半減期45億年の238U(ウラン238)が一定濃度で溶存しており、それを出発点にして(ウラン系列で)放射壊変をすると234Uになります。234Uは、半減期24.5万年で放射壊変して半減期7.5万年の230Th(トリウム230)になります。ウランは海水に溶存しますが、トリウムは即座に粒子化するので、他の沈降粒子に付着して海底に沈殿・濃縮しやすいです。
海水中にウランは過去から一定濃度で存在しています。したがって、トリウム230は一定速度で発生しています。一定速度で発生したトリウム230は、即座に海水中の粒子に付着して、沈降粒子とともに海底面に堆積します。海底面には、トリウム230をくっ付けた粒子が降り積もってゆきます。堆積物中に埋没していったトリウム230は、放射壊変して7.5万年経つと元の量の半分になります。堆積物の深い方では、時間とともに、トリウム230の存在割合が小さくなります。堆積物の隙間の水(間隙水)中のトリウム230と他の放射性核種の比率から、海底面に堆積してからの年数を計算することができるのです。
上の例では、堆積物が4 cmずつ深くなるにつれて、トリウム230の存在比が半分ずつ減る様子を表しました。トリウム230の半減期は7.5万年なので、この堆積速度は、40 mm / 7.5 万年 = 0.52 mm / 千年 と計算されるのです。
海水からトリウム230を除去するのは、有機物粒子と思われます。その有機物粒子のほとんどは堆積物中で数年で分解して無くなってしまうでしょう。沈降粒子の比率としては少ないですが、粘土鉱物や生物起源オパールや炭酸カルシウムが堆積物として残ります。トリウム230は分解しないので、堆積物中に粒子として残されます。
繰り返しの説明になりますが、この方法で求められる堆積速度とは、数万年間分解されずに残っている粒子の堆積速度であることを理解してください。
自然には、様々な放射性核種があります。例えば、ウラン235がα崩壊してできる、プロトアクチニウム231(231Pa)は、トリウムと同様に海水中で生まれると粒子化して海底に堆積します。231Paの半減期は3.3万年です。堆積物中の230Thと231Paの比率を調べることで、より正確に堆積年代を推定できます。
詳しくは、以下の論文を参考にしてください。
・海底堆積物中の放射性核種 (2000) 本多照幸, 日本海水学会誌, 54(5) 348-359
・放射性核種による北西部北太平洋の堆積環境の変遷について (2010) 村木広明ほか, 名古屋大学加速器質量分析計業績報告書