これまで、数多くの海洋学者たちが、せっせと海水分析をして海洋データを蓄積してきました。国際的な研究プロジェクトで全海洋で主要パラメタを一斉に取得することも行われてきました。以下に、The Hydrographic Programme of the World Ocean Circulation Experiment (WOCE) により太平洋に設定された観測ラインを示します。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)による海洋観測ラインを以下に示します。
日本だけでも、これ以外に気象庁や水産庁、大学の練習船で海洋観測が行われてきました。膨大な量のデータが蓄積されているのです。各研究者は、個人研究の解析を終えて成果発表をしたら、そのデータは公開されます。そのように公開された膨大なデータを集計して数値計算することで、栄養塩や全炭酸、酸素の濃度の解析値が全海洋の3次元格子点に当てはめられます。季節ごとの平均値や、年間平均値が格子状に出力されるので、これを気候値データと呼びます。気候値データは全世界にインターネットで公開されています。
海洋の気候値データを解析する際には、ある密度面のデータを選んで一斉に統計処理をかけられます。あるエリアの平均値の年々変動を統計処理により見出すことが行われています。このような解析から、気候変動による全海洋の栄養塩動態の変化などが読み取られています。気候値データは膨大な量なので、一斉処理されることが多いのです。
私たちが、ある基準を定めてデータを抽出しプロットしてみると、人間の見た目で「何でだろう?」というような些細な変化が目に付くことがあります。コンピュータでは、そのような疑問を勝手に感じることはないでしょう。海洋の膨大なデータには、未開拓の解析ネタが山ほど眠っているのです。誰でも、その解析ネタを探すことが許されています。そこで、次のkモースにて、気候値データを抽出して、N/P比をプロットして解析ネタを見つけた例を紹介します。