栄養塩豊富な海域(亜寒帯域など)では、春に光環境が改善すると、増殖スピードの速い珪藻がいち早く増えて優占します。そのため、珪藻類が亜寒帯の高い生産性を維持しています。
珪藻が増殖すると海水中のケイ酸濃度が低下します。ケイ酸が枯渇して珪藻の増殖が抑制されることがあります。
主要栄養塩のうち硝酸やリン酸が残っていれば、ケイ酸を必要としない渦鞭毛藻類などが増殖します。
ケイ酸が不足する前に、硝酸やリン酸が不足することもよく見られます。基礎生産量が減ります。表層で生産された有機物が分解すれば、栄養塩が海水に再生します。その再生された栄養塩を利用して基礎生産が続きます。それを再生生産といいます。栄養塩をめぐって、植物プランクトンたちはせめぎあっているのです。
渦鞭毛藻類は、自身の鞭毛を動かして、日周鉛直移動することが知られています。日中は表層で光合成、夜間は亜表層で栄養塩吸収すると考えられています。渦鞭毛藻類の日周鉛直移動による生態については、沿岸海域でよく調べられています。沿岸海域で有毒な渦鞭毛藻類が大発生することが、赤潮現象として知られています。