單元大綱

    • 海水の密度は、水温と塩分で決まり、低水温・高塩分ほど高密度になる。海には、浅い方に低密度の水、深い方に高密度の水が積み重なっている。表面海水が冷やされて高密度化すれば、その密度の深度まで表面水が沈む。このことは、右図を使って先に説明した。

      ある深さで安定している水を、浮上させるには追加の浮力が、沈降させるには追加の重力が必要である。いっぽう、海水は、密度を変えるような大きな作用が無くても、等じ密度帯(等密度面)であれば、少しの力が加わえるだけで動かされる(上図で、深層水が水平的に押し流されるのも等密度面での移動)。動いた先に、同じ密度で違う水があれば、等密度面での混合が起こる。下図に密度の南北鉛直断面を描いた。等密度の面(図では等密度線)が、亜熱帯域、亜寒帯域それぞれで水平になっていることがわかる。しかし、両域で同じ密度の面(線)の深さがずれている。例えば、亜熱帯の水深450 mには密度26σθ(緑色)の水があり、その密度26σθの等密度面が亜寒帯では表面に迫っている。このように等密度面に鉛直勾配があっても、海水は等密度面に沿って楽に移動することができる(下図の白破線矢印)。そして、等密度面に沿って移動しつつ、移動先にあった同じ密度の水との混合が進む。

    • 水温と塩分から決まる海水の密度(26.4,26.6, 26.8 σθなど)を計算して、下の図の実線で表した。等密度線が緩やかな曲線になっていることに注目してほしい。北太平洋中層水は、亜寒帯の亜表層水と亜熱帯の中層水が等密度面で混合してできる。等密度のこれら2つの水塊(亜寒帯と亜熱帯の水)が1:1の割合で混ざったとする。混合後、水温と塩分は両水塊の平均値になる。しかし、密度は等しいまま(26.700σθ)ではなく、若干高密度の26.774σθになる(混合水)。その差は、0.074σθである。このように、異なる水温・塩分の水が混合することで密度が増す効果を“キャベリング”という。

    • 北太平洋混合域におけるキャベリング効果で、どれだけ重たくなって沈み得るのかを下の密度断面図で説明する。両水塊の元の密度が26.0σθで、混合後が26.774σθである。亜寒帯表層下部(200 m)の水が等密度面(26.7 σθ)に沿って流れてきて、亜熱帯系水の亜表層下部の水(26.7 σθ)と等密度面混合すると、混合水の密度は27.774 σθになる。そして、同じ密度の水深まで(約50 m深いところまで)。落ちてゆく。水が混ざるだけで50 mも沈んでゆくのは興味深い現象である。

    • 海洋化学コースもくじ:https://repun-app.fish.hokudai.ac.jp/course/view.php?id=457