船で仕事・生活をすると、不合理・理不尽なことを感じる場面が多いでしょう。私が学生のころ、研究船のS船長(北大水産学部出身)から、「君の師匠のU先生(北大水産学部で船長の1年後輩)は昔〇×○×で困った!」 と叱られたことがありました。(船長は叱ったつもりではなく、コミュニケーションを図ろうとしただけ。当時、気の弱い私は叱られた気分であった)
もちろん、理不尽ですが、「ハイ、以後気をつけます。???」と素直に受け入れなければなりません。船では、年長者を敬うのが当たり前なのです。
また、集合時間の5分前に集合しないと叱られます。当時の私は、どっちが集合時間なの?おかしくない!?と思いました。(みなさんも、そう思うでしょう) そのうち、集合時間とは作業開始時間であることを理解しました。
その他、たくさんあるでしょう。意味ありそうで、実は無意味なルールとか。フツーの若者が不合理・理不尽と感じることでも、船生活を通して、自然に受け入れられる耐性を身に付けるのが大事なのです(と思う)。社会に出たら理不尽な場面に遭遇するだろうし、それを乗り越えないといけないからです。もちろん、ちゃんと意見を述べて、丁寧に自己主張して、相手の意見と調整することも覚えなくてはなりません。学生のみなさんには、乗船実習を通してこのようなことも学んで欲しいです。
いっぽう、合理的な生き方を追求する人、自分の正しい意見をどうしても通したい人は、船生活には不向きだと思います。私の親友のS君は、このように合理的で自己主張する人なので、船での研究を見限り、海洋学の世界から大気科学の世界に移りました。海洋学は船っぽい人、大気科学は船っぽくない人が集まっているように思う。(もちろん、海洋学にも、合理的でクールな研究者も沢山いますよ。)
船っぽい若人よ!海洋学の世界にようこそ。
大木淳之