【変動係数や標準偏差の説明】
測定項目xについて、繰り返し分析をi回行った。平均、分散、標準偏差、誤差(変動係数)は、以下のように計算される。
平均値(ave) :1/n×Σxi (Σは、i=1~nの積算)
分散(S) :1/(n-1)×Σ(xi –
ave)2
標準偏差(σ) :S0.5
変動係数 :σ/ave
変動係数(%) :(σ/ave)×100
分散や標準偏差については、関数電卓やエクセルの関数に組み込まれているので忘れても困らない。それでも一応、計算方法を確認しておこう。下の分散Sと標準偏差σの空欄に値を記しておこう。
低濃度範囲の試料を繰り返し測定した結果(a):20, 21,
20, 19, 20, 18, 21, 20, 19, 22
ave = 20、 S = 、σ = 、変動係数 = 5.77 %
平均や標準偏差、変動係数の意味を理解するため、測定結果(a)を単純に10倍したものを、測定結果(b)とする。
繰り返し測定の結果(b):200, 210,
200, 190, 200, 180, 210, 200, 190, 220
ave = 200、 S =
、σ = 、変動係数 = 5.77 %
(a)の結果を10倍に増幅した(b)の結果は、aveが10倍、Sが100倍、σが10倍になっている。しかし、変動係数は(a)と(b)で同じである。(a)と(b)の誤差(%)は同じといえる。変動係数の意味がなんとなくわかっただろうか。
分析化学では、測定感度をあげるため、信号強度を増幅
(amplitude)させることがある。スピーカーの音量をアンプで増幅するのと同じである。ただし、信号(音声)とノイズ(雑音)を一緒に増幅させると、聴きやすさ(測定精度である誤差・変動係数)は変わらない。ノイズを除去することが欠かせないのである。