応用発生工学実習 5:染色体操作
北方生物圏フィールド科学センター・七飯淡水実験所で実施される実習の紹介です
北方生物圏フィールド科学センター・七飯淡水実験所で実施される実習の紹介です
① 雌性発生半数体
1. 紫外線ランプを点灯する。
2. きれいに洗浄し、底面の側面にワセリンを塗ったフラットシャーレを用意する。
3. 精子をサクラマス精漿(サケマスの場合)あるいは人工精漿(コイ目魚類)で50-100倍に希釈する。
4. 0.5 mlのサケマスの希釈精子、あるいは100-200μℓのコイ目魚類の精子をフラットシャーレの底面に入れて気泡を含まないように拡げる。
5. 点灯後10分以上経ったら紫外線ランプで90秒処理する。
6. 紫外線処理した精子(UV精子)は、テストチューブやヘマトクリット管に移して乾燥しないように保存する。(正常な精子とコンタミしないようにする)
7. 未受精卵へ紫外線精子を媒精し、受精液に(あるいは受精液を)入れて受精する。
② 雄性発生半数体
1. サランラップをピンと張ったシャーレを用意し、このシャーレ上に円形枠を置く。
2. 円形枠の中に、サクラマス卵巣腔液を入れ、ゼブラフィッシュまたはキンギョの未受精卵を縁に付かないように入れる。
3. サクラマス卵巣腔液をピペットマンで、卵のぎりぎりまで吸い出す。
4. シャーレを紫外線ランプの箱に入れ、紫外線処理する(約3分)。
5. 紫外線処理後、卵巣腔液を吸い出し、正常精子で媒精する。
媒精した卵を受精液の中に入れて受精させる。① 温度処理(キンギョ:高温処理)
1. 尿素を含む受精液を満たした恒温槽を40℃に保っておく。
2. 紫外線精子、あるいは正常精子で媒精した卵を、受精液を満たしたシャーレにいれて受精する。
3. 受精後、約5分置く。受精卵は、シャーレの底に粘着する。
4. 受精卵が付いたシャーレの受精液を捨て、40℃の恒温槽に入れて1〜1.5分浸漬する。
5. 処理後、直ちに室温の受精液と交換する(第2成熟分裂阻害:雌性発生2倍体(紫外線精子で媒精した場合)あるいは3倍体の誘起(正常精子で媒精した場合)。
② 高圧処理(サケマス)
1. フレンチプレスを用意する。
2. 紫外線精子、あるいは正常精子で媒精した卵を10℃の淡水で受精後、ザルに空けて余分な精子を取り除き、さらに10℃の淡水に浸しておく。
3. 受精後、約10-20分置く。
4. フレンチプレスのセルの中に淡水を入れる。
5. セルの中に受精卵をいれ、上蓋をパッキンのところまではめる。
6. 上蓋にロケットをはめ、さらにノブを軽く閉める。
7. 上蓋を軽く押し、セルの中から空気を抜く。
8. ノブをしっかりとねじって閉める。
9. セルをフレンチプレス本体上に置く。
10. ジャッキを上げて、セルに圧力をかける。
11. 700気圧まで上がってから、7分間処理する。
12. 圧が下がったら、適宜ジャッキアップし圧力を700気圧に保つ。
13. 7分直前になったら、ジャッキ用の鉄棒を抜く。
14. 7分経ったら、減圧用のコックを左に回し、圧をゆっくりと抜く。この時、急激に圧力を下げると、卵が崩壊するので注意する。
15. 処理後、直ちに室温の受精液と交換する(第2成熟分裂阻害:雌性発生2倍体(紫外線精子で媒精した場合)あるいは3倍体の誘起(正常精子で媒精した場合))。